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後悔処刑32

 とはいえ、この現状である。
 考えてみればとんでもないことになってしまったわけで。
 大屋敷を丸々一つ乗っ取ってしまったのだ。権利を有する人間の承諾も得ずに。
 だが、考えようによっては、屋根のある、身体を包み込むように受け止めてくれるベッドが備え付けられた、衣食にさえ苦慮しない、最高の環境を手に入れたとみることもできる。
 とっととこの屋敷から出ていくことが得策に思えるところではあったが、二人にしてみればここまで辿り着く間にたまりにたまった疲労を先にどうにかしたいところで。
 二人が出した結論とは、簡潔に言えば「やばくなったら逃げる」という、盗人そのものの内容であった。――が、それを二人とも認めたくはない。自分たちが盗人などと断じて認めたくない。
 だから、二人はこの言葉を盾にした。
「一度殺されかけた」
 もちろん、正確に言えば「殺された」わけだが、そこは言い訳がましく、誰の耳にも聞こえがいいように、「一度殺されかけた」ということで、意思を統一したのだ。
 復活などという奇跡を目の当たりにでもしていない限り、「一度殺されました」と訴えたところで、ただの頭の残念な人の出来上がりである。
 詫び賃として一宿一飯ぐらいはご相伴にあずかってもいいだろうと、二人は自分たちを納得させた。
 遅れていたお風呂にも別々に入り、今は二人ともそれぞれのベッドの上の人である。
 濡れた髪をバスタオルでふき取りながら出てきたディーを見た時、マシロの鼓動が跳ねあがったのは、マシロだけの秘密である。
 濡れてもとより白く美しい肌はより艶を帯び、その肌に吸い寄せられたかのように髪が張り付いている。
 ディーはマシロがそのような視線で見ていたことなど知る由もなく、彼に気が付くとにっこりとほほ笑み、お風呂に入るように促した。
 ディーとすれ違いざまに彼女から漂う、せっけんの香りと、その石鹸に練られていたのであろうバラの香り、なにより彼女自身の匂いなのだろうか、ミルクを思わせる甘さが鼻孔をくすぐり、よりドギマギとさせた。
 逃げ込むように脱衣所に駆け込めば、ほっと一息つける――と思っていたマシロだったが、そこは当然にしてつい先ほどまで風呂上りのディーが使用していた場所であり、そこに立ち込める香りは、彼女から漂っていたものをもっと凝縮したようになっており、彼女の艶さを思い出させられるせいか、頭がくらくらとしてどうにかなってしまいそうだった。
 かといってこのまま引き返すわけにもいかず浴室に入ると、いよいよもって眩暈を感じるほどの、あまりにも生々しいにおいに、心臓が爆発しそうになるほど気分が猛る自分に気が付いた。
 冷静な部分が警鐘を鳴らす。
 このままではまずい。
 いろいろとまずいっ!
 このままいってしまうと、絶対にディー様と顔を合わせにくくなるっ!!
 マシロはとっさに桶を掴むと、中に冷水を溜め頭からかぶった。
 突然の行水に覚悟はしていても驚いた身体が敏感に反応しぶるりと震えた。
 それでも、内をめぐる熱は出て行かない。
 表面の震えを無視して、更に2度3度と水を被る。
 まるで水に洗い流されていくように、立ち込めていた臭いも消えていき、ようやく一息つくことができた時、彼の唇は紫色になりつつあった。
 湯を使うことも考えては見たが、今更になって湯がそれまでの水浴びのせいで、冷水とまじりあい、すっかり冷えてしまっていることに気が付く。
 仕方なしに、冷水と比べれば幾分かマシな温度を持つお湯だったものでタオルを浸し身体を洗い、逃げ出すように浴室から飛び出した。
 震える体を悟られぬように素早くベッドに潜り込むことを考えたマシロではあったものの、リビングにディーの姿はなく、もしかしてと覗き込んでみれば、彼女は既に寝室で静かに寝息を立てていた。
 思わずその美しい寝顔に見とれてしまう。
 規則正しい呼吸にしたがい上下する胸元と、身じろぐように動く口元。
 あまりにも無防備なその姿をまえに、思わず生唾を呑み込んでしまう。
 いけない。
 これはいけない。
 ちがう。これもいけない。
 マシロは見なかったことにして、髪を乾かすのもそこそこに自分のベッドに飛び込んだ。
 あれだけ疲れていて、油断すればすぐにも眠りに落ちてしまいそうだったはずなのに、目を瞑れども一向に眠気は訪れなかった。

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