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後悔処刑37

 静けさが訪れた。
 それは望みたい類のものではない静けさ。
 呟かれた言葉に、吐息に、思いに、聞いた側が返すべき答えを持たないがゆえに生まれ出た静寂。
 そんな静寂から抜け出したくて、マシロは懸命に考え、どうにか言葉を紡いだ。
「――その、ディー様は人が死んだらどうなるのかはご存じないのですか?」
 神様なのだから。
 全知全能と謡われるのだから。
 そんな彼女なのだから。
 しらないの?
 しってるはずじゃないの?
 それとも死んだあとは、神でさえ震えるほどの恐怖が待ち受けているの?
 己の内側で渦巻く疑念が、マシロに先ほどの問いを呟かせていた。
 ディーはしばらくの間その言葉を吟味しているようだった。
 何か不味いことでも訊ねてしまったのだろうか?
「人が死んだら――ですか」
 ぽつりとディーが呟くと、耳にかけていた前髪がはらりと垂れた。
 作り出した影のせいでマシロからはディーが今どんな表情をしているのかがよく分からなかった。よく分からなかったが、どこか切なさを感じずにはいられなかった。
「知っていますよ――」
「ほんとうですか?なら――」
「ええ、それが『人』ならなのですが」
 『人』の部分を強調しながら彼女は髪をかきあげ、マシロを静かな視線で見据えた。
「私は――『人』なのでしょうか?それとも『神』なのでしょうか?
 その二つの『死』を私は知っていますし、その後のことも理解しています。
 ですが……、私はそのどちらになるのでしょうか?どちらかになることができるのでしょうか?それともどちらにもなれないのでしょうか?」
「――あ……」
 マシロもようやくここで彼女のいう不安をおぼろげに理解した。
 人の死後のことなら知っていても、神の死後のことは知っていても、行ってしまえばその中間にいるようなディーがどのような結末を迎えるかに関してだけは、彼女にも理解が及ばない。
 なにしろ、全知全能たる神でさえ、このような事態が起こるなど「知らなかった」のだから。
「人の死はその生命活動の停止によるもの。
 神の死はその信仰がなくなってしまうこと。
 人の死は世界を巡り、神の死は信仰さえ戻れば復活できる。
 これが人と神の死であり、その違いといえるでしょう――ですが、私は今どちらに選ばれるのでしょう?
 人なのでしょうか?少なくともこの身は限りなく人に近い。
 神なのでしょうか?不完全にもほどがあるとはいえ、神の力を行使することも、その知識もなくすことなく持ち合わせている。
 そんな私のこの肉体が――死んだとき、私は人々の信仰の力によって神に戻れるのでしょうか?それとも人としてこの世界をめぐるのでしょうか?
 あるいは理を外れた存在として、排除されるのでしょうか?
 考えてもわからないのです。
 判らないから――怖いのです」
 ディーは今にも泣きそうな声で呟く。
 判らないことが怖いのだと。
 それは恐怖に他ならなかった。
「ディー様……」
 マシロにはどう答えたらいいものかよく分からなかった。
 なにしろ、ほとんどの『人』は死や死後を知らずに生きている。
 それが怖いからこそ、少しでも遠くへ逃げようと懸命に生きている。
 そんな当たり前。
 それを課されている――人であるマシロにとって、死を怖がる今の彼女は、幼い子供と同じように映った。
「ディー様は……お疲れになられているんですよ。だからよくないように考える」
「マシロ……、あなた――。明日死ぬわよ」
「――え?」
 突如受けた神からの警告。
 突然飛び出した言葉に思わずその思考の全てがそれに動員されてしまう。
 だからこそ何も考えられなくなってしまった。
 細い管に、多くの物を一度に通そうとして詰まってしまったように、マシロは何を考えるべきなのかさえ分からなくなってしまう。
「あなたは未来を知った――」
 そんなマシロにディーは告げる。
「それでも『死』を恐れないでいられるかしら?」

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