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後悔処刑41

 マシロは思う。
 たしかに、ディーが死ぬことはとても恐ろしいことだと。
 この世界の秩序の崩壊という未来が待ち受けているとすれば、それはなんと恐ろしいことだろうと。
 ――でも、と。
 マシロは気が付いている。
 理解している。
 どれだけ誤魔化してみても偽ることのできない物に。
 己の本心に。
 それは単に、それはひとえに。
 ディーに死んでほしくない――、彼女に死んでほしくない。彼女だからこそ死んでほしくない――大切な人だから、存在なのだから……。
 けれども、神で在る彼女に、そんな恐れ多いことを口にできるわけもない。
 本来は思うことさえ許されないと思っている。
 尊敬することとは違うのだと。
 恐れ敬うべきものを、我がものにしたいだなどと。
 自分の心で彼女の心を受け止めたいなどと。
 今の彼女が人間だからそう思うのだろうか。
 人間とさして変わらない存在にまで堕ちてしまったからこそ、そう思うのだろうか。
 こうなったのは自分の呪いのせいだというのに。
 マシロは気が付いていた。
 自分の呪いが彼女の力を捻じ曲げてしまっているのだと。
 彼女の力を彼女に返そうとしているのだと。
 理解していた。
 でも、理解していなかった。
「ぐぅっ――」
 突如うめき声を上げディーは胸を押さえて背中を折った。
 そして聞こえる――聴こえた――不吉な音。
 何かが軋む音。
 おそらくは世界が軋む音。
 世界の秩序が軋む音。
「でぃっ――ディー様っ?!」
「――はっ、はっ――、はっ、はっ、はっ」
 浅く鋭く短い呼吸を繰り返し、全身に脂汗を浮かべるディーはそれでもマシロの声に反応し、彼を見た。
 うつろな瞳で。
 焦点がぶれているような、輝きの乏しい瞳で、それでもマシロを見た。
「だっ――げほっ!げほっ――」
「だ、だいじょうぶですか?と、とりあえず今はしゃべろうとしないでっ!
 ゆっくりと、呼吸をすることを意識してくださいっ」
「はっ――はっ――はっ――」
 なぜこんなことに。
 なぜこんなことにっ!
 ディーを見るマシロはこの呪いを呪わずにはいられなかった。
 仮にこの家の力で、どんなに有能な医者を連れてきたところでどうにもならない。
 このままでは――このままでは。
 ディーがいなくなってしまう。
 ただただそれだけが恐ろしい。
 彼女を失った未来を思うからこそ、恐ろしい。
 怖い。
 ――と。
 こんなときだというのに。
 まるでこんな時を見計らっていたかのように。
 言い争うような声が聞こえてきた。
 相当な怒鳴り声なのだろうが、分厚い壁と床のおかげでくぐもったようにしか聞こえないそれが、階下から上がってきている。
 なにが?
 こんな時だっていうのに何が起きているのかっ??!
 やがてその声とその内容がはっきりと聞き取れた。
「なんで俺に親父が死んだことを知らせなかったっ?!」
「し、静かにしていただけませんか、ラファイトス様。
 今――その、お客様がおられるのですが、ご病気のために床に臥せっておられるのです」
 知らない男性――ラファイトスと呼ばれた男性の怒声と、それを収めるよう懇願するフォルグスの声。
「こんな時に客だとっ?!親父が死んだというのに、親父が招いた客がのうのうとこの屋敷に居座っているってのかっ?!?!」
 荒々しい声はこのゲストルームと廊下の出入り口を仕切る扉の前から聞こえてきた。
 もう、目と鼻の先にラファイトスがいるのだ。
「何考えてんだっ?!そんな客とっとと追い出せっ!」
「ですから――」
「病気がなんだってんだっ!!親父が死んだんだろっ?!なら、この家の主は俺じゃねぇかっ!!」
「い、いえ――」
「なにかおかしいってのかっ?!」
 話の内容を聞き何も彼が言っていることは間違っていない――と。
 マシロは思った。
 泥棒よろしくこの家に居座り続けているのは自分たちなのだと。
「そ、――~~っ」
「おいおいどうしたってんだっ!なにがおかしいのかはっきり言ってみろっ!!」
「じ、実は――」
 フォルグスは自身の思いに迷っていた。
 頭では分かっているのだ。
 この家の正当なる後継者は、今彼の目の前にいるラファイトスに他ならないと。
 ――しかし、心が納得できないのだ。
 この家の主は既に、マシロとディーの二人なのだと受け入れてしまっているから。
 問い詰められる中で自らに問いかけ続けた先に見つけたのは、彼の矜持であった。
 自身は使用人であり主の家具である。
 それはすなわち、自らは主の為に存在している――ということに他ならず、家の為に存在しているわけではないのだと。
 間違っているかもしれない。
 誰にも理解されないかもしれない。
 だが、それでも。
 それでも。
 フォルグスの震えは止まった。
 焦りがなくなった。
 ああ、満ち足りている――。
 フォルグスは思った。
「私の主人はあなた様ではなく――、この部屋にいる客人――いえ、我が主であるマシロ様とディー様に在らせられます」

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