FC2ブログ
少しでも前へっ!
足踏みのような歩幅でも、少しでも前進できればと思って、書き続けています。※リンクフリーです♪連絡いただけましたら喜んで相互させていただきます。
FC2プロフ



最新記事



カテゴリ



最新コメント



最新トラックバック



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ご訪問者数



☆ブログランキング☆
★参加していますっ★



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



天気予報


-天気予報コム- -FC2-



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



後悔処刑42

 部屋の内側にいるマシロでさえ息をすることすら躊躇われるほどの思い緊張感が廊下の向こうから滲み出してきていた。
 張りつめた絃が今にもはち切れる――せめてこの数分間だけ乗り越えてくれれば――そんな未来の到来が訪れないように見守り祈るような、耐えがたい緊張感。
 そんな緊張感の中、どこか間の抜けたような声が場違いなようにこぼれ出た。
「誰だよ……」
 ラファイトスである。
 それはそうだ。
 彼にとってマシロやディーといった人物は、少なくとも彼の人生の中で耳にしたことのない名前だった。
「――――――」
 フォルグスはといえば、我が主の名前を口にして以来口を引き結んでいた。
 これ以上彼らについて語ることはないと――、自らの真なる主ではないラファイトスの指示を聞くことはないという決意を、語ることなく雄弁に物語っていた。
「誰だって聞いてんだよっ!この俺がっ!!」
「――――――」
 罵声を唾と共に浴びせられても、フォルグスは身じろぎひとつしなかった。
 ただ、己が背にした扉をかたくなに守り続ける。
 その様子がラファイトスにどこか恐怖にも似た感情を抱かせた。
 しかしその自らのある種の臆病さを得たことに対して、彼は更なる激情を感じずにはいられなかった。
 この家の当主であるという自負。
 それなにそれをコケにでもされているような現実。
 目の前にいるこの屋敷の執事の代表であるフォルグスは言った。
 自らの主は真っ白だか何だか知らない奴らなのだと。
「――もういい」
 疲れたような、押し殺したような声でラファイトスが漏らすと、
「ラファイトス様……」
 思わずフォルグスの口から安堵の声が漏れた。
「一先ずこの場は――」
「もういいといったっ!口を開くなとなっ!!」
 ラファイトスの先ほどの漏らした言葉は、彼にとっていわば最後通牒のようなものだった。
 だれにか?
 フォルグスに対する。
「所詮家具に過ぎん貴様がっ、それも他人の家具だと口うるさくのたまう貴様の物言いに付き合う必要がないと俺はいったっ!!!」
 眦を吊り上げ、フォルグスを人ではなく物として見定め、見下した彼は、言葉と共に肉体が激しく稼働した。
 腰に履いた剣を引き抜き、剣術も何もなく、ただ激情にまかせて振り下ろした。
 剣術の心得など無くとも、その手にしたものは紛れもなく凶器。
 彼はその凶器を狂気で持って振り抜いた。
 骨を断ち切るのではなくへし折り、内臓を抉るように切り裂いて、刃こぼれするのも理解できずに、ただただ叩きつけた。
 左肩から右わき腹にかけて一閃されたフォルグスは、発しようとした言葉の代わりに血泡を吐いてその場にどしゃりと尻を付いた。
 意識があるのを主張するように、もはや動かぬ手足の代わりに、血走った眼でラファイトスを見上げる。
 それがまた、ラファイトスには苛立たしい。
「そんな目で俺を見るかっ!!」
 血を帯びたままの刃を再び振り上げ、今度は横一文字にフルスイングする。
 もはや先のないフォルグスの目に耐え切れなかった若者は、その目さえも奪おうと凶剣を振るったのだ――が、重力に引かれるように自身の身体を支えきれないフォルグスの体はその手前から崩れ落ちていたため、ラファイトスの一閃はただ宙を切るに終わった。
 結果――。
 また、それが腹立たしい。
 思い通りにいかないことが腹立たしい。
 今頃自分が望むように壊した家具を見下ろし、唾を吐きかけているところではなかったのか?
 そうならなかった。
 体力など残っていない死人に、己の一撃をかわされてしまった。
 これは何の冗談だ?
「――めるな……」
 柄を握る血にまみれた掌の中で皮膚がみちりと音を立てる。
「舐めるなぁああっ!!」
 片手で持った剣を大きく振りかぶり、振り下ろしたのは剣ではなく、彼の脚だった。
「舐めるなッ舐めるなっ!舐めるなぁっ!!!」
 血走った目で、口からは泡を撒き散らして、怒声と共にフォルグスと呼ばれた男の顔を踏みつける。
 原型も認められなくなった頃、ようやく彼の動きが止まり、彼の鼻からは荒々しく息がふきだされていた。
 なんのことはない。
 単に彼が疲れただけのことだ。
 呼吸が落ち着いていくに従い、彼の思考にもいくばくかの冷静さが――同時に思考を伴った冷酷さが囁きだした。
 邪魔物は排除した。
 なら、あとは?
 あとは中で震えているだろう不届き者を成敗するだけだ。
 そんな奴らにもっとも効果的な自らの登場の仕方とはなんなのか?
 昏い笑い声が短く聞こえた。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック URL
http://hyosayblog.blog.fc2.com/tb.php/442-ca5a8f64



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。