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極小の中にあふれる無限3

 フルーリーは確かに少年の顔を見ていた。
 彼の満足のいく答えを返すことができたのか、彼は顔を輝かせるように喜んでくれた。
 そう、そのはずだった。
 確かに覚えている――のに、まばたきさえしていないのに、唐突に目の前には衣類や食事をとって何日たっているかもわからない食器が積み重なる、雑然とした薄暗い部屋が目の前にあった。
 夢から覚めたような感覚すらない。
 あの夢のような世界は、飽くまでも現実に過ぎない。
 そう突き付けられているようで、心のどこかで感じていた、「きっとこれは夢」という思いも、はかなく砕け散ってしまう。
 感覚的には、そうたいしたことには感じていなかったが、それでも足元がおぼつかないような気がしてならない。
 ただ立っているだけだというのに、硬い石が敷き詰められた床の上に立っているというのに、まるで船の上にでもいるような不安定さ。
 結局には、体を支えきれずに、後ろへと倒れそうになると、誰かに受け止められた。
「――っと」
 それは若い男の声だった。
 身長は自分よりやや上だろうか。背中を受け止めてくれた掌が、そう教えてくれる。
「――――」
 しかし、男はそれ以上何も言わなかった。
 大丈夫かいの一言すらない。
 フルーリーはしかたなく、自分から声をかけることにした。
「ありがとうございます」
 それがどんな相手かはわからない。
 わからずとも、こちらまで敵意を示してしまえば、この異常な事態にたった一人で立ち向かわなければならないことになる。――ほかの可能性があるのだとしても、今はこの可能性しか見いだせないし、そもそも無駄に敵を作る必要はない。
「――よしてくれ」
 男はつっけんどんな調子でそれだけを答えた。それはどこか、無理に感情を押し殺したような、それでいて煩わしさだけはこちらに理解させる、そんな声。
 フルーリーは静かに体を男から話すと、彼と向き合った。
 話をするからには、相手の表情という情報がほしい。
 男はやはり自分より目線の高い背をしていた。おそらくは歳も近しいことだろう。
 髪は真っ黒で、肌も浅黒い。
 整った顔立ちをしており、その目つきは鋭い――が、どこか疲れとでもいうのか、苦しみとでもいうのか、あるいは苦みか、そんなものを漂わせていた。
 ――シュタル王が殺害された、その時の賊と背格好が似ていることにも、当然気が付いた。もちろん、見た顔は布で覆われていたため、目の前の男と同一人物かは定かでなかったが。
 しかし、妙な確信が彼女の中にはあった。
 けれども、それを口にしたくはなかった。
 素直に認めてくれるとは限らない。
 だから彼女は現状を確認することを優先した。
「ここはあなたの部屋なのですか?」
 すると男は、その整った顔をぎょっとしたものに変え、彼女をまじまじと見返してきた。
 そんな反応は、どこか幼い。
 あまりにも素直すぎるようにフルーリーには感じられた。あの時――、目が合った時の賊の反応を思い出させる。
 形容のしがたい感情がこみ上げてくる。
「――あんた……」
 男はそこで口ごもるように口を閉ざすと、乱暴にそっぽを向き、短く「違う」と返答した。その表情は先ほどまでのそれと同じだった。ただ、端的に「違う」とだけ言われても、はじめはどういった意図での否定なのか、フルーリーにはわからず、おいてけぼりを食らったような戸惑いを覚えたが、すぐに部屋のことだと結び付けた。
「違う……違うのですか?なら――」
「――はぁ……」
 続けて尋ねようとしたフルーリーの声を、重い溜息で遮ると、視線だけをフルーリーに寄越した。
「あんた――、ここがどこかを知ってどうなるってんだ?
 ここはあんたの知らない場所だよ――って、答えてやりゃあ満足か?」
 その言葉には、会話を拒絶したいという意思が露骨に表れていた。
「いえ、そうではなく――」
「俺とあんたは世間話をして楽しむ間柄じゃない――そうだな?」
 一方的で、高圧的な彼の態度に、馴れ合いをするつもりはないのだということだけははっきりと伝わってきた。
 けれども、こうも確信している。
「あなた――アルビノなんですわよね?」
 かれこそが、あの異常な空間で出会った少年の今なのだと。
 いくら髪の色や肌の色が違うといっても、顔立ちまで変わっているわけではない。
「――なぜ……」
 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして思わず問い返してしまったことに気が付いた彼は、いらだたし気に舌打ちをすると、その全身からフローリーめがけて何の前触れもなく殺気を叩き付けた。空気を震わせるわけでもないのに、その強烈な気配は、フローリーの鼓膜をびりびりと震わせた。
 かといって、彼女も一国の――亡国とはいえ――姫であった身だ。怯えなどおくびも見せずに彼の視線を受け止めた。
「――あなたの……、幼い日のあなたと出会いましたわ」
「――幼い……」
 青年は考える。
 幼いころに目の前にいる王女殿下とあったことがあっただろうかと。
 答えは――わからない――だった。
 覚えていないだけかもしれない。
 ただ、彼が住んでいた田舎町には、かの王族が尋ねてくるようなことはなかったはずだ。
 それにその物言いも気になる。
 過去の話なのであれば、「出会ったことがありますわ」というべきなのだ。それだというのに、今の彼女の口ぶりでは、最近自分の幼いころと出会ったようではないか。
「俺は知らない」
 警戒を解かぬままに彼は答える。
「あんた、俺と昔あったことがあったか?」
 そして確認する。
「いいえ、ありませんわ。――おそらくですけれど」
 フローリーの記憶。そこに少なくとも先ほど出会った少年の顔は、それ以前にはない。もしかしたら、大衆の中に彼の姿もあったのかもしれないが、いくらなんでもそのすべての顔を覚えているわけがない。
「……自分が妙なことを口にしている自覚はあるか?」
 どこかげんなりとした声で青年はいう。さすがに殺気も緩む。
「――そういわれると、そうなのですが、それしかいいようがないといいますか、私も巻き込まれたとでもいいますか……
 とにかく、先ほど幼いころのあなたと出会ったのです。場所もよくわからない、変な空間でしたけれど――――」
「あんた――、馬鹿なのか?」
「な゛っ――」
 そんな暴言を投げつけられたことなど、フルーリーにはなかったことだ。その言葉が身を、心を貫いた衝撃に、自身でも驚くほどに彼女は傷つき、感情が高ぶるのを確かに感じていた。
「馬鹿とはなんですかっ!馬鹿とはっ!それは私だって馬鹿馬鹿しいことを口にしたという自覚はありますわっ!ありますけれど、それが事実なのだからしかたないでしょうっ?!」
 思わず声を上げてしまったが、これはフルーリーにとって初めてのことだった。自分にもこんな風に感情を荒立たせ、叩き付けるように声を上げることができたなんてと、自分自身で驚いたぐらいには。驚き、謝ろうとしたが、それより先に彼が鼻を鳴らした。
「ハン――。あんたさ、夢でも見てたんじゃないのかい?それとも、夢と現実の区別もつかないのかい?実は王家の連中は、やばい薬でもやってたんじゃないのかよ?」
 その一言は甚く彼女を傷つけた。
 違う。
 傷ついた傷を踏みにじられたのだ。
「あなたが殺したくせにっ!!」
「――ッ――――」
 気が付いた時には糾弾していた。

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コメント
ブレイブオンライン辞めたんですか?
[2015/12/27 13:20] URL | あにーじゅ #- [ 編集 ]

辞めてはないですよー
ネタを作れるほどの余裕が無いだけですw
[2015/12/31 18:36] URL | HYO=SAY #- [ 編集 ]


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