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極小の中にあふれる無限7

 グラトニーは薄暗い通路を進む。
 スロウスの部屋ではそう感じさせないだけの明るさと、切り出したように平らな地面、壁紙の張られた壁が張られているが、ここはもともと坑道だった場所だ。通路だけでなく大抵の居室も文字通り岩を砕いて広げられた空間であったり、天然の空洞をそのまま利用しているだけといった環境に彼らの隠れ家は存在していた。
 登記上にはこの鉱山の持ち主はエデンという名の外国企業となっているが、それは実のところタックス・ヘイブンとして知られる、とある国に本籍を構える企業であり――、早い話がペーパーカンパニーである。
 要するにここは、彼らのために用意された、彼らのための隠れ家なのである。
 何しろ表向きには私有地であるここは、何らかの事件性でもない限り、警察官も介入することができない。シュタル王国はなにも無法の国だったわけではなく、れっきとした法治国家だったのだから。
 それが意味するところは、ここは犯罪とは無縁の地として認識されているということである。
 グラトニーはいくつかの扉の前や横に伸びる通路を素通りし、いかにも突き当りといった具合に天井から床へと緩やかにカーブを描いた窪みのある場所へと辿り着いた。
 そこにあるのはパッと見ただけでは、ただ岩肌があるようにしか見えない。
 グラトニーはそれを正面にして左壁面へと手を伸ばし、ただの壁にしか見えない部分に手を当てた。実はそこには静脈認証の装置が仕込まれているのだ。
 彼の静脈パターンを認識すると、装置は目の前の丸くくぼんだ空間ごと、右へとスライドさせてしまう。
 そこにあったのは朽ち果てた教会を思わせる空間だった。
 まるで異教徒や悪魔信仰を掲げる人たちが人目を避けるために過去作り上げたような、入り口の現代技術とは全くの逆で、おどろおどろしく、陰気な雰囲気が立ち込めていた。
 中央には七角形を模る岩が一つ――テーブルが鎮座し、その角に一つずつ蝋燭が灯されている。そして一辺に一人ずつ腰掛けるための視覚に切り抜かれた石が敷かれており、そこにはすでに四人が腰掛け、思い思いに暇をつぶしていた。
 そのうち、入り口に立つグラトニーから見て真正面に位置する最奥に座る人物が彼の姿を認めると、視線を上げ、尋ねた。
「スロウスとエンヴィーは?」
 薄暗い中で表情がわかりにくいが、面白くなさげにグラトニーは答える。きっと、その表情もそういった顔をしているのだろう。
「スロウスはいつも通り『欠席』だとさ。エンヴィーはしらねぇ」
 グラトニーはそっけなく答えながら自分の席へと歩み寄り、腰を下ろした。
「そうなのかい?」
 先ほど尋ねてきた男――、見た目は美麗な優男といった風の、明るい灰色をした長髪の男が尋ねてくる。
「――スロウスは確かに俺が呼びに行った。だからそれはわかる。だが、なんでエンヴィーなんだよ。なんであいつの名前が出てくるんだ?悪いが俺はあいつの保護者じゃないんでね」
 すると対する男は微笑を交えてグラトニーをからかうように言う。
「君こそなにをいっているんだか。僕たちからしてみれば、君が保護者じゃないか――、それともエンヴィーが君の保護者なのかな?」
「おもしろくも――」
「ああ、悪いんだがね。そのクレームの前に僕の話が終わっていないんだよ。さっきのは気にの言葉に対する返答ってだけで、僕が言いたいことはほかにある」
「――――」
 この男はいつもこうだ。グラトニーの憮然とした表情はそう物語っていた。
「エンヴィーはね。あんまりにも遅いんで、君を迎えに行ったんだけど、会っていないのかい?」
「――――会ってねぇ」
 一呼吸置く必要がグラトニーにはあった。
 そこには、間の悪さ、運の悪さ、この後待ち構えているであろう、あるいは今にも起こっているであろう事態に対する諦め。その感情を押し込めるためのものだった。

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