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極小の中にあふれる無限12

 グラトニーは洗面器で掬ったお湯を頭からかけ流すと、疲れ交じりのため息をついた。
 濡れた岩肌に、湯気が漂うここは、このアジトにある共同浴場である。
 今は今回の作戦における報告会を兼ねた会議も終わり、次のアクションを起こすまで、あるいは起きるまでの、フリーな時間だった。
 会議のことを思い出すとため息もつきたくなる。
 この後の事も考えるとなおさらだ。
 スロウスがなんとかしてくれていそうな気もするが、それも果たしてどこまでやら。
 不安は尽きないが、今はこうして浴室で垢を落とすほかなかった。
「お兄様、お疲れのようですねぇ~」
 舌足らずな声音がしたほうにグラトニーが視線を向ければ、ツインテールを下ろしたエンヴィーがいた。
 浴室だから当たり前ではあるのだが、エンヴィーは一糸も纏わぬ、おのれ自身の姿を特に手で隠すようなこともせず、しかし局部は見えように太ももの位置を計算したうえでバスチェアに腰かけながら、まぶしいものでも見るかのように、目を細めてグラトニーのことを見ている。
 そんなエンヴィーをごく当たり前のようにグラトニーも見ていた。
 一糸まとわぬ姿も当然目に入っているし、そのふくらみのない胸もその中に含まれている。もちろん、中央にそれぞれある突起も。
 けれども、グラトニーがそれに気兼ねするような気配はない。
 二人はエンヴィーが呼ぶように、兄弟のように育ってきた。だからである。
 今こうして浴室にいるのは、グラトニーを探しに出て行ったというエンヴィーを探しに行ったとき、通路の途中で出会ったエンヴィーのテンションがいつもに比べて高かったからだ。
 それはあの隠し部屋についてからも変わらず、エンヴィーはグラトニーの腕に自らの両腕を絡みつかせて、終始離れようとはしなかった。
 こういったとき、大抵機嫌を損ねた後であることを、グラトニーはよく知っていた。
 だからこそ、グラトニーはこうしてエンヴィーが誘うがままに風呂に入りに来たのだ。エンヴィーのご機嫌取りといえばそこまでだったが、そうしてもいいと思えるぐらいには、グラトニーもエンヴィーのことを大切に思っていた。
「そんなにお疲れなら、お背中を流しましょうかぁ~?」
「いや、それはいい――」
「まあ、まあ。遠慮ぉなさらずぅ~」
 いうが早いか、エンヴィーはグラトニーの背後に回り込むと、その背中に泡を立て始めた。すると、必要以上の泡が、見る見るうちにグラトニーの背中とエンヴィーの細い手の中で膨らみ始める。そして、それが当然とばかりに、エンヴィーはしなだれかかりながら、自らの手を泡を潤滑油に、グラトニーの右胸と下腹部へと回して、身を寄せた。
 グラトニーはこうなることがわかっていたのだが、止める間もなく、それにこれでエンヴィーの機嫌を本格的に損ねるわけにもいかなかったからこそ、されるがままとなっていたが、そこに他意はない。実の弟に近い存在であると理解しているし、それを否定するつもりもないが、故に、決して精神衛生上許容しがたいものと感じている。
「おにぃ――、気持ちいい?」
「――これ以上は勘弁してくれ」
 そう、間違いではない。
 誤字なんかではないし、誤植でもない。
 グラトニーは先ほど視覚になっていたエンヴィーの局部のことを実の兄弟のようにして成長してきたから知っているし、だからこそ弟のように接してきていた。
 この、酷薄の美少女然としたエンヴィーが、自分と同じおとこであることも。
 だから、気にならない。
 彼の乳頭を見たとして。
 彼の局部を隠す太ももや臀部のラインを目にしたとて。
「俺たちは兄弟だ――、そうだろ?」
 エンヴィーより年上だから分かる。エンヴィーがこのような人格を形成するように至った経緯を。正確でなくても、的確でなくとも、その大筋ぐらいは。
 エンヴィーの兄だから分からない。なぜ、このような感情を抱くことになったのかを。抱けたのかを。グラトニーにも兄弟としてならエンヴィーを愛しているというだけの情は抱いている。一緒に育ってきたのだ。だが、エンヴィーが向けるグラトニーへの愛は、その趣が異なる。そこが、グラトニーには理解できないし、認めたくはなかった。
「――関係ない」
 短く反論して蠢こうとしたエンヴィーの両手をグラトニーの腕が先に押しとどめた。
「なにがあった?」
 グラトニーにはその理由がもちろんわかっていた。こうまで執拗にエンヴィーが甘えてくるということは、それだけ彼にとって面白くないことがあったということであり、嫉妬しているということであり、意味するところは間違いなくフルーリーのことを知ってしまったということだ。
 けれども、兄として。
 弟の口から正直に話してほしいという思いもあった。
「――キスしてくれたら教えてあげる」
 エンヴィーはグラトニーの耳元に唇を寄せ、甘い声で囁いた。
「いい加減にしないと――」
「起こっているのは、ボクだよ?」
「…………」
――――――――――――。
「あの黒髪のコが男の子ですって……?」
 驚きの声を上げたのは、今スロウスの口からエンヴィーのことを聞いたフルーリーのものだった。ちなみにフルーリーは話の前段として、最初に彼女がまだ聞かされていなかった、黒髪の少女――もちろん正しくは少年だが――が、エンヴィーという名前を持つことを聞かされ、その人物が男だということを教えられた後で、その容姿を伝えられていた。
 驚きと恐怖がちょうどいい具合に相殺してくれたのか、再びパニックを起こすことはなかった。
「ああ、そうだ。あたしが入る前から二人は――というか、エンヴィーはあんなかんじだったからね。少なからず推測は混じっているが、グラトニーや、ほかの連中から聞いた話をまとめると、さもありなんっていう話さね」
 そう前置きしてスロウスはエンヴィーのことを語りだし、そのときグラトニーもまたエンヴィーと出会った時のことを思い出していた。

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