FC2ブログ
少しでも前へっ!
足踏みのような歩幅でも、少しでも前進できればと思って、書き続けています。※リンクフリーです♪連絡いただけましたら喜んで相互させていただきます。
FC2プロフ



最新記事



カテゴリ



最新コメント



最新トラックバック



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ご訪問者数



☆ブログランキング☆
★参加していますっ★



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



天気予報


-天気予報コム- -FC2-



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



極小の中にあふれる無限15

 それがどれだけ常軌を逸しているのか。
 非現実的なのか。
「――今、エンヴィーはいくつなんですの?」
「数えで一三だったかねぇ」
「グラトニーはっ?!」
「あいつはちょっと前に誕生日が来たから一七だよ」
 あとは単純な引き算だ。
 要約すると、
「五歳の子供が大の大人――それも、犯罪組織に身を置くような男たちを二〇人近くも殺めたんですのっ?!」
「エンヴィーの誕生日を考えると、まあそうさね。あの子が五歳か四歳の時の話さ」
 信じられない、信じたくない。そう思いながらもフルーリーに淡々と語り聞かせるのは、科学の人であるスロウスだった。彼女は証明できることしか断定して語らない。
「ひどく欠損していたっていう話でしたけれど、それはどういった方法なんです――の?」
「そのいいかただと、うすうすきがついているんじゃないかい?たぶんそれであってるよ」
 フルーリーはぽかんと口を開けたままという、誰に見せたこともない表情で固まった。
「お姫様もそんな顔するんだねぇ」
 いいものみれたよといってスロウスが茶化す。
「そ、そんなことっ、そんなこといわれましてもっ!そんな、嘘みたいな――」
「嘘じゃないさ。じゃないと、わざわざ組織を一つ投入するだけの金や労力、はらうわけないだろ?」
「――でしたらほんとうに……」
「ああそうだ。エンヴィーは獲物なんか使っちゃいなかったんだ。全部素手だよ」
 意外とそのころの子供の攻撃というものは、想像しているものよりも痛いものだったりするが、それとはまったく桁が違う。あたりまえだが、そのころの子供は加減を知らないから、あるいはそれがうまくできないから、大人でも「痛い」と思うだけの攻撃を繰り出すことができるが、だからといって死ぬようなことはめったにない。
「なんでそんなことが……」
「――特異体質さね」
 そう言いながらスロウスは肩をすくめた。
「そんな……」
「ほかに何があるってんだい?」
「――なにか、思わせぶりですわね」
「――他意はないさ」
 二人はしばらく互いの目だけを見つめあった。
 にらみ合うでもなく、探り合うでもなく、ただただ視線を外さないことだけを意図して。
「まあ、それはそれとしてだ」
 先に視線を外したのはスロウスのほうだった。
「あの子があんな性格になっちまった理由っての、これもうすうすわかったんじゃないのかい?」
「――推論の域はでませんわね」
「そういうもんじゃないさ。それは案外充てになるもんさ。
 なんでかって?感性の話だからさね。
 人の持ちうる人の感性だからこそ、人だからある程度の指標にはなる――もっとも、ノイズが混じりがちなのが玉に瑕ってやつだがね?」
「――だとしたら」
「だとしたら?」
「さみしかったんだと思いますわ」
 フルーリーが話を通して直接感じた感情を聞いたスロウスは、感心した様子で「ほぅ」と漏らした。
 フルーリーは再び思案する。想起させた光景に身を置いてみる。
 二〇人近い大人を殺さなくてはならなかった少年の孤独とはいかほどだったのか。
 一九人もの大人たちが襲い掛かってくる恐怖――護ってくれていた者たちを奪われた孤独とは。
 一九人もの襲い来る大人たちを、一方的に蹂躙できてしまう自身(子供)の異常性を知ってしまったことによる、他人とは違うという孤独感。
 そこに優れているというような高揚があっただろうか?
 そこに他人とは違うという劣等感があっただろうか?
 そもそもそんなことを感じる余裕があっただろうか?
 頼れる大人たちを殺され、畏れ、震え、嘆くその真っただ中で、ついに自分に矛先を向けた一九人の大人たちを前にした五歳足らずの少年が、そんな感情を抱く余裕が?
 助けてと言っても助けてくれず、来ないでといってもにじり寄ってくる。
 一人跳ね除ければ、怒りに駆られる違う大人が迫りきて。
 それも交わせば違う男が大声をあげて。
 たった一人で。
 置き去りにされたそこが狂気と怒気のるつぼの中心と化し。
 たった一人で。
 生きることを望んだ子供の孤独感。
 そこで出会ったのだろう、比較的近い年頃の少年グラトニーに。
 それは依存するように。
 唯一の寄る辺として。
 固執する――、せずにはいられないのだろう。
 うつむき、半分目を閉じて思いをはせていたフルーリーがゆっくりを顔を起こしたとき、スロウスの部屋にノックの音が転がった。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック URL
http://hyosayblog.blog.fc2.com/tb.php/464-faec8c70



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。