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極小の中にあふれる無限18

「あいたたたたた――」
 それは俺のセリフだとグラトニーは胸中で毒づきながら、頭突きを受けたあたりを指で触り確認していたのは、瘤ができたかもしれないという心配ではなく、出血していないかと気になったからだった。
 素人が故になのか、もしかしたらそんな謎の護身術のようなものを習得しているのかは定かではないが、フルーリーははた目から見る分には、それはもう鮮やかな頭突きをグラトニーの脳天にお見舞いしたのだ。
 幸いというべきか、グラトニーの頭部は割れてこそいなかったものの、生傷など珍しくもないだろう人生を歩んでいる彼が思わずそう心配してしまったことからも、強烈な一撃だったことがうかがい知れる。
「なにすんだこのバタ姫っ!俺にお花畑見せてやろうってかっ?!」
 早くも瘤として膨らみ始めてはいたものの、支障はないと判断したグラトニーは、凍えながらにも声を荒げて苦情を述べたのだが、
「いいましたでしょっ!甘んじてくださいましっ!」
 フルーリーは先ほどと同じ言葉を繰り返すばかりで、グラトニーには彼女の意図がつかめない。
「甘んじるもクソもねぇだろっ!なんだってんだっ!なにがしてぇってんだよっ!?
 それともあれか?王族の連中ってやつらは、自分のストレスがたまると、そこら辺の誰かに頭突きかましてストレス発散をするような風習があるってのかよっ?!」
「そんな風習あるわけないでしょうっ?!」
「じゃあなんだってんだっ!!」
「――私があなたを許したとあなたは思っているんですのっ?!」
「――ッ!?!」
 フルーリーはそうグラトニーの瞳をまっすぐに見据えて口にした。
 そう、このときフルーリーは確かにグラトニーの瞳を見据え続けていた。
 スロウスとエンヴィーは少し前から――、フルーリーが頭突きをした後グラトニーの苦情に答える時から気が付いていたが、グラトニーが気が付いたのは今この時だった。
「……そりゃ、そうだ――」
 言われてみないと気が付かなかったかもしれない。
 グラトニーはそう表情にはおくびにも出すことなく、寂し気に笑った。
 どうして自分は、たったこれだけの短い会話で、つい先ほど自分自身で自答していたことを忘れてしまっていたのか。自分はフルーリーにとって、親の仇じゃないか。
 もしかしたら、そんな――分け隔てなく親しみを感じさせてくれるのが、彼女の持ちうる最大の魅力なのかもしれない――、そんなことを考えながら、サンライズと謳われる彼女の金の瞳を見つめ返しながら。しかし――、
「勘違いしないでくださいましっ!!」
 まるで心を見透かしたかのようなフルーリーの一喝に、気付かれない程度肩を震わせて、グラトニーは彼女の瞳を改めて見つめ返した。
「恨んでいるわけではないのですっ!!」
 毅然とグラトニーの瞳を見つめ返して、フルーリーは誇示する。
「あなたがしたこと――殺人は許せないことですわっ!それは、そうでしょう。
 人ひとりの命を少なくとも奪った、その罪を安易に許していいわけがありませんっ!!
 それが私の父――、それが王であったからと言って、そこに差はありはしませんっ!
 罪は罪なのですっ!!
 王の娘である私が、それを示さなくて――、いったい誰が前を向くことができるんですっ?!」
「――――――」
「だというのに――、それだというのにっ!
 その罪を犯した人から目をそらし、話もまともに聞けず、いったい何を知れるというのでしょうかっ!そんなものを私は望みませんっ!
 どこまでも、知るべきなのですっ!
 なぜ、そこに、至ってしまったのかっ!?
 それがなくてはっ!それがなくて、何の公平性なのかっ!!
 私はもう王女ではありませんわっ!ですがっ、その誇りまで――、願いまで失ったわけでも、ましてや捨てたわけではありませんのっ!?」
「どこまで、お花畑なんだよ――このお姫様は」
 しばらくの沈黙を破ってそう聞こえよがしに漏らしたのはグラトニーだった。
「そうですか?あなたにはそう見えますか?」
 対話に応じる。
 対等に言葉を交わす。
「それ以外の何だってんだよ――、本当は……恨んでいるんだろう?憎んでいるんだろう?それなのになんだってんだ――」
「おかしなことをいうんですのね。
 グラトニー、あなたはそんなにも憎まれたいのですか?」
「――それが自然だろう?自然ってことは不自然じゃねぇ。不自然ってことは安心できねぇ、そうだろ?」
「普通のことをやっていて、人は救われるのですか?」
「?!」
「恨み恨まれて、憎み憎まれて、互いが互いに銃口を向けあって、刃を向けあって、明日をもしれぬ日々を、それでも恨みだけを糧に、それを晴らすことだけに希望を見出して、生き続ける日々を――救いと呼べますか?」
「――けどなぁ」
「ええ、そうです。あなた方が今いるそこは、私の目からは地獄にしか見えません」
 フルーリーはゆっくりと視線を動かし、見据えた先にいるのは、グラトニーの背後から盗み見るように睨みつけるエンヴィーだった。その様子は、警戒心をあらわにする小動物を思わせた。ただしそれはチワワだのといった愛玩動物などに分類されるようなそれではなく、痛みに怯える窮鼠のそれである。
 ――が、委細かまわぬとばかりに、フルーリーは手を差し伸べる。
「そんな地獄から、あなたも救いたい――」
 エンヴィーの体がおびえるように震えた。

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