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極小の中にあふれる無限21

 フルーリーは見ていた。
 その変容を。
 何が?
 エンヴィーの目が。
 弧を下に半月を描いたのを。
 瞼で瞳の上半分まで隠れたのを。
 睨め上げるように。
 無理矢理低い位置におのれをおいて、見上げるように。
 羨むように。
 フルーリーのそのサンライズと呼ばれる黄玉を見つめるのを。
 そう思った時には、全力で身を引いていた。
 本能が叫んだのか、理性が警鐘を鳴らしたのか。
 フルーリーはエンヴィーのことをよくは知らない。
 けれども羨望(エンヴィー)であることには気が付いている。
 その符号が、符牒が。
 卑屈に見上げるその姿が。
 重なって。
 まさに今、身を引くフルーリーの眼前を強風が叩いた。
 強風が、狂風が、凶風が。
 こちらに伸ばされたエンヴィーの掌を置き去りにして、フルーリーの頬を撫でて過ぎた。
 フルーリーにはその一撃を免れ得たことを喜ぶような余裕さえなかった。
 なぜなら彼女にはわかっていたから。
 なにより見えていたから。
 それがなければ、エンヴィーの指はやすやすとフルーリーの右目に届いていただろう。
 いうまでもなくグラトニーだ。
 エンヴィーとフルーリーの間に立っていたグラトニーが、エンヴィーの放った気配に敏感に反応して、彼の腕を跳ね上げるようにして押しとどめたのだ。
 空振りを悟ったエンヴィーは、光を失ったかのような虚ろな瞳で、変わらずにフルーリーの瞳を見ていた。
 腕でガードするようにしてエンヴィーをその場に押しとどめようとするグラトニーをまるで無視するように、彼の腕を乗り越えようとするかのように、彼の腕に自らの指をかけて、振り払われても繰り返し指をかけて、フルーリーの瞳を求めて、亡者のごとく腕を伸ばす。
「やめろっ!エンヴィーっ!おいっ――おいっ!!」
 グラトニーが呼びかけても反応がない。
 反応に答えず、それでも意識の何かを刺激したのか、声が漏れ出た。
「――い……」
 エンヴィーがおそらくは胸中でつぶやいていたのであろう声が。
「ずるい」
 虚(うろ)な瞳のままに、眦から涙がこぼれる。
 理解できず、理解が追い付かず、我を失い、現状を見失うほどの混乱が、今のエンヴィーの胸中のすべてだった。
 なぜフルーリーが自分の呪縛を断ち切ったのか――少なくともエンヴィーにはそう見えた。
 なぜフルーリーをグラトニーが守るのか――なによりもそれが、うらやましく、理解できないことだった。
 彼女が自分と違って女性だからか。
 彼女が美しい髪と瞳を持っているからか。
 わからない。
 わからないけれど――。
 自分も飲み込まれそうになったあの瞳の美しさ――それだけはわかる。
 だから――。
 ずるいと。
 欲しいと。
 うらやましいと。
 手を伸ばす。
 だから手を伸ばした。
 なのに、届かない。
 届いたところで、それが自分のものになるわけがないということもわかっているのに、手を伸ばさずにはいられない。
 奪わずにはいられない。
 欲しくて欲しくて。たまらないほどに欲しくて、欲しいから憎くて。
 憎くて憎くて、羨ましくて。
 自分のものにならないと分かっているからこそ、それが欲しくてたまらない――故に、涙する。
 そしてその意味を、すべてとはいかぬまでも。
 おぼろげに。
 フルーリーは理解する。
 完ぺきではなくとも、すべてではないとしても。
 そんなに欲しいのであれば――いいでしょうと。
 一度は危機感故に身をひるがえしたが、それでもあなたが止まるのならと――。
 満足できるのならばと。
 フルーリーは自ら一歩踏み込んだ。
 エンヴィーへ向かって、あまりにも近すぎる、その一歩を。

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