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極小の中にあふれる無限23

 手にし、目にしはっきりとわかる。
 それを光にかざすように掲げ見ようが、その金の瞳の中央の瞳孔を覗き込もうが。
 これはもう死んでいると。
 死んでいる以上、すでにどうあがいても生き返ることがないのだと。
 終わっているのだと。
 自らの手でフルーリーの眼球を摘出したのだとしても、同じ結果しか待っていなかったのだと。
 わかっていたことを、理解していた。
「お――おぉ……おおおおぉぉおおぉおぉぉぉぉぉぉぉ……」
 涙があふれ出る。
 それぞれの両手で片方ずつ眼球を握っているせいで、満足に涙をふくこともできない。
 眼球とは思っているよりも大きいものだ。
 それがましてやエンヴィーの、見た目だけなら華奢にしか見えないその掌で隠しきれるはずもなく、その瞳にエンヴィーの涙がしたたり落ちる。
「――どうしてこのようなことを?」
 エンヴィーのことはグラトニーに任せながらフルーリーはスロウスに問いかけていた。
「どうしたもこうしたもないさね」
 そういってスロウスは例によって気だるげに肩をすくめた。
「お姫様――。
 さっきも同じようなことを言ったけれど、だからさっきと同じ言い方じゃなくて違う言い方でいうけれど、眼球を素手で摘出――だなんて、自殺ものだって以外なんだってんだい?
 ましてや相手はエンヴィーだ。
 この子は腕力が秀ですぎている話はしたつもりなんだけどねぇ」
 そう。
 もしエンヴィーがあのままフルーリーに掴みかかっていたのなら、フルーリーのどちらかの眼球は、眼窩を形成する骨ごとむしり取られていたことだろう。
 そんなことになっていたとしたら、それこそ命が今こうしてあったかどうかわかったものではない。
「――わかってはいました――が……」
「これで命を落とすのであれば、そもそも自分の夢なんか適うわけありませんわ――とでも思ったってのかい?」
「……否定はしませんわ」
「他力本願が過ぎやしないかねぇ?」
 やれやれと羽化していた腰を椅子に落ち着かせながら、スロウスはフルーリーの瞳を、半眼の形を成しながら横目で見た。
「それも否定はしません――が……いえ――だからと、…………よしておきますわ」
「なんだいなんだい?気になる言い方だねぇ?」
 何かを言おうとしながらも、どこかバツが悪そうな歯切れの悪さで、フルーリーは己の言おうとした言葉を撤回するが、スロウスは半分嫌がらせのつもりで、彼女が何を言いかけたのかを確認したがった。むろん、残りの半分は、彼女が何らかのトラブルを抱えていないかを確認するためでもある。
 トラウマだの、妄想癖だの、英雄願望だの。そういった彼女を構成する要素がわかりえるだけわかりえたほうが、彼女の考えや行動を推測しやすくなるという道理からである。
 しかし、フルーリーがため息を漏らし「つまらない話ですよ?」と断りを入れたうえで、「そもそも論旨としてはいいわけにもなっていないんですけれど――」と、前置きを入れて口にした言葉は、スロウスをしても予想していないことだった。
「私の右目は義眼なのですわ」
 そういうなりフルーリーは、あろうことか本当に自らの右目に指を当て、いとも簡単に外して見せた。
 これには、それまでどこか興味深げに探るような視線で不安を隠していたスロウスを愕然とさせ、文字通り百戦錬磨である二人にも強い衝撃を与えた。
 何しろ誰も知らなかったし、気付いてもいなかった。
 フルーリーのそれが義眼だということに。
「そこは――、政治的な意図と申しますか、思惑が多分に絡んでいましたの」
 そうと言われれば、そうなのかもしれなかった。
「だから、といってこんなことがエンヴィーさんに歩み寄ったその一歩の理由だなんていうつもりはないのです。でも、だからか……。
 私自身は、この瞳があまり好きでもありませんの……」
 王女様のこのカミングアウトには続けて3人が共に驚かされた
「命を捨てるようなつもりもありませんでしたし、正直そこまで重く考えてもいませんでした。
 あ――っと、それは自分の命のことではなくて、命にかかわることだという意味で、ですが。もっとも、今となってはこの瞳のことを殊更隠す必要もなくなったわけですけれどね」
 ――だからと言って感謝できるものではないですが、と皮肉気に、寂し気にフルーリーはつぶやいて、言葉を付け加えたいた。

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