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極小の中にあふれる無限26

「ぐらとにぃ……君もえらく反抗的じゃないかい?」
 貴公子然としている整った顔立ちを、怒りに赤く染め上げ、醜悪にゆがめたグリードは、キリキリと歯を食いしばり、対峙する姿勢をとった。
「反抗期ってやつだろ?」
 飛びかかったとき腹に蹴りを食らったグラトニーではあったが、急所は避けていたため、蹴りを受け止めた部分をさすりながら、軽口で応じた。
 とはいえ、それは見せかけだけ。
 確かに急所を外すことはできたが、かといってダメージがなかったわけではない。
 グラトニーには知りえないことだが、エンヴィーと向き合っていた時のフルーリーに負けず劣らず膝が笑い出しそうになっている。
 グラトニーにとって、エンヴィーにとって、年の離れた兄のようなグリードではあるが、その実二人にとっては恐怖の象徴そのものだった。
 グリードはフルーリーの義理の兄にあたる――。
 が、そのことを知るものは決して多くはない。
 そこには、グリードの生まれが関係してくる。
 グリードは若き日の故シュタル王が出会った行きずりの女との間にできた子供だった。
 当時まだ故シュタル王は結婚こそしてはいなかったが、かといって相手の女は王族にふさわしい身分の家系にはあらず、教養を納めた才女というわけでもなかった。
 はっきりといえば、女であることでその日の暮らしを楽しむだけの金を稼ぐ――、そんな女性だった。
 女にとっては幸か不幸か――、故王にとっては嘘か誠か――、ただ確かなことは、二人が関係を持った後、グラトニーと自称することになる赤子が女の胎内にその命を宿したということだけだった。
 だが、そんな一大スキャンダルを、この国の人たちのほとんどが知らない。
 そもそもが知りえてはならない真実である。
 これは故王にとって幸いなことに、この国は王国だった。
 そして自身は、次期王位継承者であった。
 直接動かずとも、動いてくれる者たちが大勢いたし、その者たちの口は一様にして硬かった。
 そんな彼らは王子に主張した。
 子供が生まれる前に、母子ともども殺してしまいましょう。
 それに対して王子は答えた。
 ――生まれてくる子供に罪はない。
 何と慈悲深きお言葉――と、彼らは唱和した。
 そう、口では。
 だから彼らは、内密に女性を城内へと招き入れ、何一つ不自由のない暮らしを与えながらに実質的には幽閉した。
 赤子が生まれるその日まで……。
 たが、赤子をそのまま王子の息子として育てるわけにはいかなかった。
 当然である。
 母親がいないのだから。
 だから、赤子は養子として引き取られることになった。
 それが当時の近衛の長であり、准将の位を授かっていた、フォグルド准将であり、彼は遠縁の子供を引き取るという建前でもって、その子を引き取りエルロと名を与え、我が子同然に育てた。
 何しろ、これは王家の大スキャンダルであったし、その責任の一端を直接フォグルドは担ぐこととなったのだ。
 フォグルドという男は野心家で知られているほどには、おのれの欲望に忠実な男だった。
 あらゆる手を駆使して、ただ高みを目指す男であった。
 王家もそのことは把握していたが、ある種の餌として血縁者を送ることで、彼の自尊心をわずかでも慰めようとしてのことだった。
 フォグルドは野心家ではあったが、それに見合うだけの知恵も武勇も持ち合わせており、彼はそれを惜しみなくエルロへと分け与えた。
 それは知恵や武勇に留まらず、己の抱く野心や自尊心、果てはストレスや癇癪まで、ありとあらゆる己の特性を与え続けた。
 ただ、エルロはそのデリケートな出自の問題から、ほとんど屋敷の外に出されることもなかったため、それが当たり前なのだと受け入れ続け、父を愛し続けた。
 ある日エルロは父とともに、即位してようやく周りも落ち着いたころのシュタル王に謁見する機会があった。
 もうすでに分別の付く年頃であったエルロは、その時の王の言葉と眼差しに違和感を覚えていた。
「あの赤子が、こうも大きく……」
 涙すら浮かべて微笑みかけてくることが、エルロには理解できなかったが、理解してしまった。
 知ってはならぬ現実があることを知ってしまった。

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