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極小の中にあふれる無限27

 エルロへの教育はそれからも変わらず続けられていった。
 熱心に、執拗に、苛烈に、唐突に。
 それらすべてを与えられるなか、エルロは誰にも相談できぬままに考え続けた。
 賢いエルロは理解していた。
 この屋敷に住まう者たちはどれだけ自分に媚びへつらっても、それは父であるフォグルドへ向けられたものであるということを。ようするに、うかつに何かを漏らしてしまえば、瞬く間に父に聞こえてしまうのだということを。
 ある日のことである。
 まだ幼かったシュタル王国の王女――すなわちフルーリーは、はやる気持ちを隠し切れない様子で父王へと尋ねた。
「お父様っ、お父様っ!私にはお兄様がいらっしゃるんですの??」
 その一言に声を失ったのは、このとき部屋にいたものすべてであった。
 なぜなら皆がそのフルーリーの問いかけに対する本当の答えを知っていたのだから。
 フルーリーにしてみれば、ビッグサプライズがあることを教えられたような心境であったが、その急激な変化にはさすがに気が付いた。
 何か言ってはいけないことを言ってしまったのではないか――子供心ながらにも、――いや、子供だからこそそれを敏感に感じ取っていた。
「おやおや――?それは、だれがいったのかな??」
 父王は努めて微笑みを取り繕いながら愛娘に問いかけると、愛娘は周りの雰囲気と父親の不自然さに怯えながら、それでも素直な彼女は答えた。
「――お兄様が……」
「………………お兄様――かい?名前は聞いたかい?」
「そ、その――お父様、お兄様はなにか悪いことをしたんですの?」
 さらに高まりつつある緊張感に、フルーリーはよくないことを思いつきはしたが、それが何なのかは当然わかるわけもなく、おずおずと問い返した。
「――いや?そんなことはないけれど、もしかしたらその人が嘘を言っているかもしれないだろ?だから、お父さんに教えておくれ?大丈夫、フルーリーが心配するようなことはなにもないから」
「は、はい――」
 そうしてシュタル王はエルロという名前を娘の口から聞かされた。
 当然、周囲もその名前を知っている。
 そしてそのことは一つのことを彼らに想起させた。
 すなわち――、
「フォグルドが裏切った」
 そして、瞬く間にフォグルドは逮捕されることとなる。
 ――が、逮捕されることとなったが逮捕されることはなかった。
 罪状は隣国への機密漏洩。
 そして彼はその動きを察知し、逃げ切れないことを悟ると、一人息子をおいて服毒自殺した――故に、実際に逮捕されることはなかったのだ……が、もちろんそれらはすべて国がでっち上げたものだった。
 これらのことを当時16歳だったエルロはたった一人で考えやって見せたのだ――といっても、彼がしたことといえばフルーリーに真実を伝えただけ。
 父の身分を傘に着て、悠然とそして優雅にフルーリーに近づいて、自分が兄だと告げただけ。
 それだけであとは自分が描いた通りにことは転がった。
 シュタル王は息子を害するつもりはなかったため、実の息子が正体を明かしたことは、彼が自分の正体を知ったのであれば当然だろうと考えた。
 だがそうなると、誰が彼に知ってはならない真実を教えたのかということになる。
 そうなれば、当然教えたのは一番身近なフォルグドだろうということになる。
 そこには証拠は必要なかった。
 ただ必要なのは、彼らにとっての真実であり、それを口外したものへの見せしめであった。
 そしてもう一つは、当事者たちへ再確認させるといった意味合いもあった。
 余談ではあるが、フォルグドは絶命するまでの間、一貫して「知らない」と己の主張であり、ほかならぬ真実を繰り返し主張していた。
 それはそうだ。
 エルロが実の父を知ったのは、ほかならぬシュタル王が自分へ見せた表情であったのだから。

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