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極小の中にあふれる無限28

 その後エルロはシュタル王城で生活することになった。
 なぜなら彼は、背信の将の息子ではあっても、彼に罪があるわけではなかった――との見解がなされていたのであり、唯一の父親が自殺したことで天涯孤独の身となったしまった不遇の青年だったのだから。
 だから、シュタル王が保護をした。
 それは国民たちへのアピールでもあった。
 准将が隣国へと機密情報を売り渡していたという事実は、少なくない衝撃を国民たちへ与え、国の情報管理体制などを疑問視する声が噴出したからだ。
 そんな准将が死に逃げしたため、怒りのやり場が亡くなったところへ、「彼の息子には罪がない」とシュタル王自らが熱弁した結果、大多数の世論はあっさりと慈悲深いシュタル王への支持を表明した。
 解決などしていない――そもそもあり得ない事件ではあったが――。ただ、事件を違う話題で重ね塗りしただけだ。
 けれども国民たちが求めるものとは、昨日の悲劇ではなく、今日のエンターテイメントであった。
 そうして大々的に報じられはしたものの、それはあくまでも保護なのであって、王族として迎え入れるといった話ではなかったが、エルロもそこまでの進撃を見込んでいたわけでもなかった。
 むしろ、できすぎといっていいぐらいにできすぎていた。
 けれどもそれを鼻にかけるようなマネはしなかった――、少なくとも人前では。
 エルロはそのままフォグルドの屋敷で生活することは維持費など財政の面からさすがにいきすぎとの判断がなされ、何より王が手元に置いておきたいとの主張をしたため、表向きにはとある施設に入居させたようにしながらも、その実彼は王宮に住まうこととなった。
 実のところこの処置は、王の周囲も喜んだ。
 ――というのも、目の届きにくいところに置いておくことで、またぞろ彼が「実は王の息子なんだ」と言いふらされてはたまったものではない。
 なので、実際のところはほとんど軟禁といってもいいような扱いであり、それは彼を身ごもっていたころの実母に対する処遇と似ていた。
 だが、彼は母とは違い、その意図を正確に見抜いていた。
 見抜いていたからこそ、このままではだめだと理解していた。
 王の血を引いているというのに、それも唯一の現王の娘とされるフルーリーより年上だというのに、王位継承権を得ていないことが非常に面白くはなかった。
 はっきりと腹立たしかった。
 そしてそのことを周囲にそれとなく伝えた。
 まったく敵意を示すことなく、にこやかに不平を漏らした。
 それも、不平には聞こえないような口調で、相手がそう察するような言い回しで。
 しかし、彼の周りにいる人物たちはこの国の中枢を任された者たちばかりであり、粒ぞろいであるがゆえに、敏感に彼のことを気遣う者たちが続出した。――彼の意図に気付かぬままに。
 そんなある日の事、シュタル王にフルーリーが尋ねた。
「お父様、どうしてお兄様はお兄様じゃないんですの?」
 それは事の発端となった、エルロがフルーリーへ兄だと告げた時の事を意味しており、フルーリーは正しくそれを覚えていることを意味していた。
 王たちは皆願っていたのだ。
 フルーリーが、エルロが彼女の兄であると名乗ったことを忘れてくれるように、あるいは気のせいであった、もしくは勘違いであったのだと自己解釈してくれるようにと。
 だが、現実はそうはならなかった。
 かといって、シュタル王は自らの口で、「エルロは君の兄じゃないからだよ」ということはできなかった。
 実の息子には違いないのだ。
 共に暮らした時間は短くても、それでも彼は息子を愛していたからだ。
「――君にとっては年上のお兄さんだろ?」
 そう言って誤魔化した。
 誤魔化したがいつまで誤魔化しきれるものか分かったものではない。
 だからまた、重鎮たちは秘密裏に集まって、額をつき合わすようにして協議せざるを得なかった。
 そうそれは秘密裏に。
 王も同席させないうちに。
 そんな彼らの動きもまた、エルロは察していた。
 察してすぐに彼は動いた。
 自分から話を持ち掛けたのである。
「あの廃坑の所有者にさせてほしい」
 ひらたくいえば、彼の要求はおおむねこのようなものだった。
 必要となる電気工事など、ライフラインを整えることも条件には含まれていたが、彼らはエルロが王の息子である秘密を厳守するのであればと承諾した。
 もちろんその裏には、裏切れば義父同様の結末が待っていることを示して。
 それにエルロは同意し、ペーパーカンパニーという隠れ蓑の下、廃坑の主に収まったのであった。

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