FC2ブログ
少しでも前へっ!
足踏みのような歩幅でも、少しでも前進できればと思って、書き続けています。※リンクフリーです♪連絡いただけましたら喜んで相互させていただきます。
FC2プロフ



最新記事



カテゴリ



最新コメント



最新トラックバック



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ご訪問者数



☆ブログランキング☆
★参加していますっ★



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



天気予報


-天気予報コム- -FC2-



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



極小の中にあふれる無限31

 この真実を最初に違和感として感じさせ、過去の出来事のそれぞれを的確につなぎ合わせ、一つの大きな略図として掻き上げたのは、ファンベルンよりも長くこの城に仕えるガラン少尉であった。
 文献を改めるまでもなく、この城を中心として起きた事件やたわいのない事故などを日々の業務報告で引き継ぎ、また引き継がれてここまで勤めてきた彼だからこその閃きであった。
 だからこそ当然というべきか、ファンベルンの前々任者でもあるフォグルドの名前を見た時には、そもそも当時から抱いていた違和感が、徐々に形を成し、確信に変わっていくのは、ある種の快感にも似た興奮を覚えさせ、彼の血流を加速させ、その手を震わせた。このような時だからとはいえ、国家の機密を暴く行為に背徳感を感じなくもなかったが――、むしろそれは怒りに塗りつぶされた。
 自分たちは何のために働いてきたのか――。
 職業意識を無碍にされたかのような怒り。
 ガラン自身がフォグルドの死にかかわったこともなかったし、事後処理に携わったのも、些細なしわ寄せによるようなものでしかなかったが、王のためとはいえ、その不始末を隠匿するためにどれだけの労力が――俗っぽくいえば、血税が使われ、命が捨てられたのだと、憤りを感じずにはいられなかった。
 もちろん、政治だの、外交だの、きれいごとばかりでは済まないだろうこともわかる。
 それに、これまでの自分の暮らしを振り返ってみても、戦争に巻き込まれ、担ぎ出されるようなこともなかったし、愛して結ばれた女房と一男一女の子供たち、そして皆で暮らす家を思い浮かべれば、幸せだと断じることに迷いもない。
 そういう意味では、まさしくシュタル王は賢王だったのだろう。
 皆に賢王と自らを見せつけ、平和を成し、富を増やした。
 もちろん格差もあるが、そこには少なからず、決して少なくはない努力によって、ある程度の高低差を埋めることもできていた。
 それらまで過ちだったかと、そう割り切れるわけもなかったが、それでも感じずにはいられなかった。
 俺という男は、何のために働いてきたのだ。
 自分のため。
 家族のため。
 仲間のため。
 それはわかる。
 けれども、それだけでここまで仕え続けてきたわけではない。
 この仕事が「正しいこと」であり、「誇れる」仕事だと、「信念」を持てたからこそ、ここまで「やりがい」をもって、続けてこられたのだ。
 その前提が覆されてしまったようなものだ。
 やりがいと思っていたものは、政治というものが作り出した虚構に過ぎなかったのか。
 ――だが、しかし。
 だがしかし、ガランは一度そのことを忘れることにした。
 押し込めることにした。
 何より今は――。
 何より今は。
 あの若き准将、ファンベルンの命を受け、こうして自分は彼の道を示せるだけの結果を手にすることができたのだから。
 まずはそれを優先することにした。
 己の自己完結などそのあとでいくらでもすればいい。
 なにより、ファンベルンのことだけは、どれだけ上層部が信用ならないものだとしても、信用するに足る人物だと、彼自身が信頼しているのだから。
 彼を信頼し、信用しようと思ったのは、ほかならぬ自分自身で若き准将を見定めたからなのだ。
 彼はなるべく私情を挟まぬようにすることは、これまでの半生にも及ぶルーチンワークのおかげでたいした苦労をせずに済んだ。
 改めて実感する。
 このような事態に陥っても、それでも平静と変わらずに報告を行えるようにするために、退屈だの、代わり映えがしないだのと軽んじられる報告業務に、意味があったのだと。
 この国のトップであった故王の残したありとあらゆる形の情報を、要点をかいつまんであげていく。
「当時准将を務めていたフォグルドが、突如機密漏洩の罪に上げられ、公の場に姿を現すことなく、自害した件の真相らしきものが残されており、具体的には親を失った『エルロ』という当時16歳の青年をどのように取り扱うかについて複数人とやり取りしていた記録を発見した次第であります」
 「エルロ」に関する、不可解なほどに散見する、王に充てた数々の報告が意味するものはなんなのか。
 また、王が若きころ故の感傷故に手放せなかったのだろうか。
 隠された引き出しの中からは、彼らの知らぬ女性に充てた手が身が、書きかけのままにしまってあった。
 また、その名前の女性から届いていた手紙もあった。そこに書かれた女性の名前こそが、エルロの実の母親の名前であり、その手紙にこそ「これから生まれてくる赤ちゃん」のことが書いてあり、「多忙」故に会えない王に対して、男の子であれば「エルロ」と名付けたいという内容のものであった。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック URL
http://hyosayblog.blog.fc2.com/tb.php/480-86a9207b



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。