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極小の中にあふれる無限34

 一方そのころ、一足先に廃坑の奥へと進んだフルーリーたちは、光の屈折によってどう見ても窪みにしか見えない場所にある隙間から奥へと身を滑り込ませた先に用意された自動車に乗り込み、エデン所有のそこから離れ、王城へと向かって進んでいた。
 ちょうどこの場所は正面の入口――すなわち今、近衛部隊が突入した入口からは、山を挟んで反対の位置に当たり、地図にも記されていない抜け道の一つであった。
 言うまでもないことだとは思うが、フルーリーの双眸は変わらずに健在である。
 遅れて到着したファンベルンが発見した眼球は、スロウスがエンヴィーに向かって投げて渡した、あれである。
「――まさか、お姫様がこっちに来るとはね」
 彼らが乗る車は、いわゆるクロスカントリーカーであり、満足に舗装がなされていない道でも、乗り心地はともかくとして、立ち往生することなく突き進んでいた。
「いろいろと聞きたいこともありましたので」
「聞きたいこと?」
「先ほどの、――その。目のことですわ」
「目?――ああ、眼球のことかね」
「ええ、その『目』のことですわ」
「ふむ……。教えてやってもいいが、まずはあたしの質問に答えてくれてもいいかな?
 そしたら教えてあげようじゃないか」
 にんまりと笑いながらそういうスロウスは、そもそも隠すつもりがなさそうな雰囲気ではあった。単に、自分が先に問いかけたからこそ、どうせならそれの答えを聞いてからにしようといった程度のことだったとみえる。
 フルーリーにもそのことはもちろん伝わっていたが、かといって自分が話さないことにはスロウスも語ろうとはしないだろう。
 それに、これ以上自分のものと全く同じようにしか見えない、しかし眼球そのものがどこぞからひょいと投げ出されるというのも、正直言って気持ちのいいものではない。
 はっきりとおぞましい。
 それになんだかんだと言って、フルーリーも彼女たちに聞いてほしいことでもあった。
 どうして、フルーリーがスロウスたちと共に行動することを選んだのか。
 なお、今この車に同乗している者たちは、フルーリーとスロウスのほかに、グラトニーとエンヴィーも同乗している。
 なお、ハンドルを握っているのはグラトニーである。
「――あのまま保護されることは簡単なことだったと思いますわ。
 その後の人生にしてもおそらくはそうだったでしょう。
 大事に保護されて、身分を失いながらもそれなりの生活ができたという気がしていますわ。――けれども、それも一時のことではないのかと。
 あの、エルロお義兄様が諦めになられるとは思えませんでしたの。
 ――なにより、もう二度と皆さんにお会いできなくなるような――、そんな気も致しましたの」
「――それは本気で?」
「本気ですわ」
 スロウスのはもちろん、フルーリーに親の仇であることを示唆しての問いかけだったが、フルーリーもそのことを理解した上で、スロウスの瞳を見つめて答えた。
「――薄っぺらいと思われてしまうかもしれませんが、これまでにも繰り返してきたとおりです。私にとっては、この国の住民の方には違いありませんもの」
「……なるほど」
 スロウスは笑顔でうなずきながらも、そこには大人としての演技力が多分に使われていた。
 納得はしていない――が、理解をしたフリをすることで、子供の関心や信頼を買おうとするあれである。
 フルーリーはフルーリーで、政治力からくる演技力でそれを額面通りに受け取るように微笑んでみせた。
 なにしろが、である。
 証明のしようがないのだ。
 ならば、これからの立ち振る舞いで認めてもらうことしかできない。
 反復し続けることで、証明となすしかない。
「それで、――『目』のことなのですが」
 答えることには答え終わったと、フルーリーはスロウスに微笑み返した。
 スロウスも笑顔で受けながら、「やれやれ」と硬い座席に腰を掛けなおして口を開いた一言目が、次の通りであった。
「あたしがなぜ枢梟院を追われたのか――、暗殺だのなんだのいわれたのか、その本当のところを知っているかい?」

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