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極小の中にあふれる無限38

 がくんと車体が揺れた。
 それは、スロウスにとっての同乗者たちの心情を代弁していた。
 何しろ意味が分からない。
 白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)とは、そもそもスロウスが自身に仕掛けた、時限式の自動的に自力で解除できるパスロックでありパスコードではなかったのか。
 そのための薬物だったのではないのか。
 それがなぜバタ姫の左目に関わってくるっ?!
「――関わっている……というのは正しくないねぇ。何せ、それそのものなんだからさ」
「白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)は――一五年前にはすでに完成していた?」
 愕然とした表情で、それでもわかったことを口にしながら、フルーリーは恐怖にも似た、激しい感嘆の念を抱いていた。
 一五年前の科学水準とは、いったいどのようなレベルだっただろうか。
 万能細胞と呼ばれるES細胞はそのころすでにありはしただろう。
 だが、どんなに記憶を巡らせても、近年日本と英国の研究者が人工多能性幹細胞――通称iPS細胞に関わる研究でノーベル医学賞を共同受賞したことは思い出せても、人の眼球を複製し――かつ、その視神経を繋ぎ見えるようにした――などという報告は聞いたこともない。
 考えてみれば、異常としか思えない。
 現にフルーリーの目は――失った右目も含めて、記憶にある限り見えていたのだから。
 その見え方で、ほかの人と大きく食い違ったような記憶もない。
 同じものを見て、同じようなことを感じながら、自分の意見を抱いてきたはずだ。
 そしてこうして今スロウスを見つめる彼女の左目は、正確に彼女の表情と色を教えてくれている。
「白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)とは――」
「まあ、そうあせりなさんな。お姫様が言うよう少なくとも一五年前に白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)はあった。それは正しい。
 そしてそのときにあったのだから、大体その時から二年後にだってもちろんあった。これは、まあ、多分に――、……臨床試験的な意味合いも含まれてはいたんだけどねぇ。
 そのときは白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)に適合できる因子を有する、障害を持つ子供が選ばれたんだよ。――その赤ん坊は、両腕が未形成で――大雑把に言えば、なかった」
「二年――?……あれ?」
「うん、エンヴィーいい子だね」
「――おい、おいおい。ってことは、もしかすると――」
「ああ、あんたの考えていることは正しいよ、グラトニー。
 それより一年前に――、白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)は使用されたんだよ。これも臨床試験……違うね、その言い方はフェアじゃない。このときは人体実験の意味合いが強かった」
「――――その赤ん坊は、……アルビノだったってわけか」
「優しいねぇ、あんたは……本当に」
「――要するに、私たちは……」
「――そうさね。皆、白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)のキャリアってことさ」
「それならそれで、白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)ってのはいったい何だってんだよ。
 肌の色を染めるわ、人の眼球になるわ、腕をはやすわ……」
「なんだと思う?」
「聞いてんのはこっちだろうが……」
「だいたい、グラトニー。
 あんたには悪いけれど、あんたのそれは正しく肌の色を染色しているわけではないだろう?」
「――わぁってんよ……」
「その、なんだね。こういうと、いやかもしれないけれど、本当のことを言うって約束だからあえて言わせてもらうけれど、皆本物――ってわけではない。
 肌だってわけでもないし、眼球そのものだってわけでもなければ、腕っていうわけでもない。
 要するにだ――、元の遺伝子データを元に、忠実に再現している……擬態しているだけなんだよ。白雪姫の毒リンゴ(スノーホワイトアップル)は」
 仮にiPS細胞のようなものが当時すでに実用化されていたとしても、それによって生成されたものを「擬態」などとは表現しないだろう。となれば、必然的に元は別のものだったものが、それを機能ごと再現しているということになる。
 そんなものの心当たり――……。
 フルーリーに思いつくものは、一つしかなかった。
 これまた荒唐無稽にしか思えなかったが、それならいろいろと説明も付く気がする。
「ナノマシン」
 果たしてスロウスは――、今までため込み続けてきたかのような、重く長い溜息を、ゆっくりと吐いた。

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