FC2ブログ
少しでも前へっ!
足踏みのような歩幅でも、少しでも前進できればと思って、書き続けています。※リンクフリーです♪連絡いただけましたら喜んで相互させていただきます。
FC2プロフ



最新記事



カテゴリ



最新コメント



最新トラックバック



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ご訪問者数



☆ブログランキング☆
★参加していますっ★



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



天気予報


-天気予報コム- -FC2-



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



極小の中にあふれる無限40

「――それが……ボク?」
「ああ、そうだよ……」
 エンヴィーの声に短く応じて、スロウスは続けた。
「なにしろ、軍事利用さ――。けど、……ああ、そうさ。
 どんだけきれいごとを並べて、自分を誤魔化しても、あたしゃ……、望んでそれに挑んだのさ。
 秘密裏とはいえ、誰もなしえなかった領域――、そこをあたしだけが深くまで踏み込んでいける。……探求心と好奇心を満たすには、これ以上ない環境だったよ。
 成果云々がなければ、こそこそ隠れてやる自慰行為以外のなにもんでもありゃしない。
 それがたまたま、誰かの要望に適応していたってだけさね。
 『無題』っていうタイトルの、何も描かれていないまっさらなキャンバスに、ン千万だのって大金を出すのとおんなじってわけさ」
「でも――ボク……は、不幸じゃ――ない」
「……エンヴィー――そう、そうはいうけどね……」
 見ればエンヴィーは運転するグラトニーの腕に、運転に支障を来さないように気遣いながら抱き着いていた。
 抱き着いて――震えていた。
 わかっているのだ。
 スロウスが言わんとしたことが。
 ――でも、そのせいであんたの両親は死んじまったじゃないか……。
 なにしろ、兵器に関する技術なのである。
 それも、重火器などとは一線を画す、誰もが見たこともない、思い描く程度の空想の産物。――その可能性。
 それをうかつに漏洩され、拉致される――あるいは第三国に売りに走られるなど、リスクを考え始めればきりがないほどの、機密事項だ。
 だからこそ、当然にして家族には本人も含め、軍の監視下に置かれる――そんな未来しか残されていなかった。
 それでもエンヴィーの両親は、息子の両手を望んだのだ。仮に人並みの自由がなくとも、人並みの生活手段をえられるように。
 そのことを十二分に理解していた。
 理解したからこそ――、エンヴィーの答えは「幸せ」だった。
 グラトニーに抱き着くためのこの両腕があることを何よりも幸福だと思える。
 両腕が感じる感触も、それはぬくもりも含めて、自分の感覚として得ることができる。
 そんな当たり前――のような。
 ありふれた。
 奇跡。
 それを享受することと両親の命を天秤にかけて、どちらがより幸せか――なんて答えられるわけもない。
 どちらかを失ったら、不幸なんて――。
 そこまでを求めるのは求めすぎで、欲張りだと。
 今あるこの幸せを、大切にするだけなのだと。
 そうエンヴィーは理解していた。
「――そう……かい」
 ため息を吐くようにスロウスは言うと、一度深く、深く深呼吸をした。
「さてと、ようやくお姫様の欲しがっている答えになるんだが……、結論から言おうか。
 ――あたし自身が生産工場だよ」
「――はい?」
「なんだい?わからないのかい?要するにあたし自身が、材料であり、生産ラインであり、培養装置であり、――設計図さ」
「――なにがどうすれば……」
「なにがって――あたりまえじゃないかい。あたしが軍事転用だけで満足すわけがないじゃあないか。当然、エンヴィーの後も研究を続けてきたってわけさ」
「けれども――その、軍事転用はどうなったんですの?!」
「――そこで出てくるのが、ズヤールってわけさ」
「ズヤール?『ズヤールの大罪祭』のことですわよね?」
「何しろ、エンヴィーもそうだが、赤ん坊だったんでね。
 そうすぐすぐ実験の成果を得られるわけもなかった。
 とはいえ、赤ん坊にしちゃあありえないような腕力を、当時から発揮してはいたんだけれどね。それがどういったレベルにまで成長するのか。それを見定める必要があったってわけさ。
 本当のところ、ズヤールはエンヴィーの成長を観察し、記録するために派遣された、いわば専属医といったところだったのさ。
 そうして、日々報告という形で、あたしたちにその成長過程を送ってきていたってわけさ。
 ――けれども、その数値が――、まさしく『人間兵器』といえるほどの結果を出しちまってねぇ。――むしろあっさりと超えちまったぐらいさ。
 失敗じゃあないが、大成功を収めてもいけなかったんだよ。
 なんせ、それをコントロールできないことには、いつ爆発するかもわからない爆弾を抱え続けるようなもんだろう?
 ――その結果が、すべてをズヤールに押し付けてケツを火星辺りまで蹴り上げた、あの『ズヤールの大罪祭』ってわけさ」

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック URL
http://hyosayblog.blog.fc2.com/tb.php/489-42d5dca1



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。