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極小の中にあふれる無限43

「本当に、感服いたしますわ」
 投げやりな口調で聞こえよがしにそうぼやいた声はよく反響した。
「おほめにあずかり光栄でございます」
 フルーリーを茶化すようにグラトニーが答える声も。
 彼らが今進んでいるのは、地下鉄のメンテナンス通路であった。
 とはいえここは頻繁に使われているのだろうか、ほとんど埃だのが見られない。
 彼らはあのアパートの暖炉の煙突の途中から地下へと抜ける縦穴を降りて、辿り着いた小部屋から外に出たところにあった階段を下り、この地下鉄が走るトンネル内へと降り立っていた。
「なんでこの辺……キレいなの?」
 スロウスと並んで歩くエンヴィーは、彼女にそう問いかけたが、
「この辺がこざっぱりとしているのは――、お姫様なら理由がわかっているだろう?」
 直接回答するようなことはせずに、フルーリーへと話を振った。
「――そういわれましても……、と言いたいところですけれど、もうみなさんご存知のようですし……。
 ここはようするにあれですわ。
 王族専用の脱出路といったところですは。
 もちろん、王族専用とは申しましても、緊急時にはその限りではございませんけど」
「それが――なぜ?」
 どういう経緯で王族の脱出路とこの辺のメンテナンスが絡んでくるのか、エンヴィーにはうまく理解できなかった。
 わざわざこんなところまで、手間暇かけて清掃しているとも思えないし、いくら緊急時には使用されるものだといっても、王城に秘密裏に潜入できる可能性のあるこの通路を知る者が増やすようなマネは避けたいはずである。
 それにこの通路もこざっぱりとしてはいるものの、あくまでもそれはこざっぱりという表現にとどまるものであって、隅々まで清掃が行き届いているわけではない。
「この辺りは――、もう少ししたらその原因の一つがわかるはずですわ」
 フルーリーはそう言いながらスマートフォンを確認していう。
 正確には、スマートフォンに表示されている現時刻である。
 すると、まるで水を向けられるのを待っていたかのように、ふわりと風が舞い込んできた。
 ――そう思った次の時には、髪やスカートを抑えなければならないほどの突風が吹いてきた。
 そして必要以上に間近で聞こえる、地下鉄の車両が線路を進む音。
「――これ――?」
「そう、これが一つ――そして……」
 あたりが多少埃っぽくなる中、証明の明かりに照らされて光を反射するそれらの粒子が、漂いながら、その多くが一方向に進んでいるのが見えた。
「先ほどのように、地下鉄が通過するときにおこる突風で埃を舞いあげて、天井裏に設置されてある排気口から、外へと排出させているんですわ」
 これは、ここが王族の緊急脱出通路であるが故の処置であった。
 もちろん、地下鉄構内だからと言って、空調が停止されていたり、換気手段がないわけでもない。が、それも頻繁に地下鉄が通過する通路ならともかく、万が一に備えられているようなこのような場所に、必要以上の費用をかけてまで、あるいはここにそう言った施設があることを知らせるような設備を、わざわざ設けるわけにもいかない。かといって、先にあげたように喚起を怠り、空気を停滞させるわけにもいかない。
 故の処置であった。
 あえて空気が流入するように設計され、それによって舞い上がった埃を排気口が吸い上げ、別の通路へと飛散させる。
 そしてメンテナンスが必要な時などは、あくまでも地下鉄を通すときに備え付けられたメンテナンス通路だと説明することで、ここが王族の脱出口だということもカモフラージュできる。
 しかし、それでも。
「よく気が付いたものですわ――。けれども、いくら気が付いたからと言って、力技でこんなことをするなんて……」
 フルーリーは頭痛を錯覚しそうになるほどに、あきれ果てていた。
 そう。
 このメンテナンス通路に関してはフルーリーも知っていた。
 いざというときには、王族専用車両を走らせることもできるのだから。もちろんそういった車両のために、専用の技師や運転士を抱えてもいる。
 ――が、そんなフルーリーでも、先ほどのようなアパートの暖炉につながるような通路に関しては、まったく知らなかった。
 知識として覚えていなかったのではない。
 公式に、あるいは世間に隠匿しているなどという意味での非公式においても、存在しえないはずの通路だったからだ。
 それもそのはずで。
 グリードが説明したように、あくまでもあれは彼らがしつらえたものだった。
「そうさ。今日この日のためだよ」
 グリードはどこか舞台俳優のように大仰に両手を広げて語る。
「そして、これからのためでもある――」
 たどり着いたそこは、公にはされていないが、紛れもなく王城への入口の一つであった。

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