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極小の中にあふれる無限46

 そうしてグリードは――、エルロは語った。
 知られていなかっただけで、これまでも王の近くで生活をしていたこと。
 しかし、異変に気が付いた時にはすでに王は逆賊に暗殺された後であり、それでもせめてとの思いからフルーリーを救出したこと。
 逆賊が誰かもわからない以上、たとえそれが近衛部隊であってもフルーリーを預けることができなかったこと、そして今まで逃げ回っていたこと。
 賊を取り逃しはしたが、一秒でも早く国民へ、王族の血脈が耐えていなかったことを伝え、安心させたかった――などを語り続けた。
 国民の多くは彼の言葉を強く支持した。
 近衛部隊は「信用ならなかった」という彼の言葉に激怒したが、若き准将が一喝し、これを無理矢理に抑え込んだ。
 ファンベルンは奥歯をかみ砕かんとばかりに歯を食いしばって、懸命に暴れだしそうな怒りを押し殺していた。
 それは近衛の者たちを軽んじるような発言をされたからではない。
 このようなおそらくは虚言を、さも真実であるように語り聞かせる、エルロの演説に舌を巻いたからだ。本当の意味での真実に近いところにいるファンベルンには、エルロの嘘がわかる。
 例えば、彼が王の恥部故に表立って王子だとされてこなかったことを掴んでいる。
 それなのに、彼は「安全のために」という建前を持ち出して、万が一に備えて隠されて育てられてきたと語った。
 これは、今の国民たちにはとても理解できる内容であったし、さすがは賢王だと関心もした。
 なにせ、その賢王は、まさに暗殺の憂き目にあったからだ。
 恥部であった――とはいえ、れっきとした王の血を引く彼は、DNA鑑定でもそのことが認められることだろう。フルーリーと母親由来のDNAが違うことが証明されても、「実は母は暗殺された――」などと説明すれば、ますます彼が隠されて育てられた説を後押しすることになる。
 彼の母親らしき人物が王に宛てた手紙もあるが、それだってきっと彼はこういうだろう。
「賊が用意した偽物を隠したのではないですか?」
 もしくは、実の母だと認めつつも結局は「実母暗殺説」を述べるか。
 要するに不審な点はあれど、れっきとした不動の証拠がないのだ。
 こうして先んじて、公共放送で会見を開いたことで、おそらくは彼の真実を知るこの国の重鎮たちも、あらかた己の身の振り形について、誰に話すこともなく、その真実に対しては知らぬ存ぜぬを繰り返すことだろう。
 それだけでなく、彼に取り入ろうと、彼の嘘を補強するようなことを述べる者たちも現れるだろうことは想像に難くない。そうなれば、嘘という張りぼてが補強されていき、いつしか真実を超える「本物」になりえるかもしれない。
 この事実にファンベルンは歯噛みするのだ。
 文字通り間に合わなかったことを悔やんで。
 小さな画面の男は、後ろに控えていた紫髪の女性の話を始めたところだった。どうやら、彼女はかの大賢女プラタナス本人らしく、彼が彼の持つ権限にて彼女を保護してきたのだという話をしていたが――、正直どうでもよかった。
 彼女は大罪人などではなく、ちょっとしたすれ違いのような出来事が、彼女の悲劇を生んだのだとそう語り、真実に気が付いた自分はいち早く彼女を保護した――と、そのようなことを語っているようだが、それでさらに世論を味方につけようとしているのだろうと予想しながらも、それでもどこか映画を見ているような、現実感を喪失したような心境で、その会見を眺めているだけだった。
 そんな彼の現実感を引き戻したのは、やはり彼女だった。
 フルーリーのサンライズであった。

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