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極小の中にあふれる無限52

 差し伸べられた手を取ったのは、グラトニーの意思であった。
 母さんが死ななければならなかった理由なんてなかったはずなのに、母さんを死なせてしまったこの世界を壊したい。
 そう自分の思いを改めて言葉にすると、それはとてもしっくりとなじんだ。
 だから――と。
 だから、と。
 汚れ仕事を与えられても、それと引き換えにようやく食事が与えられるような生活だったとしても、それでもいつかは――、それでもいつかっ、強くそう念じることで耐え、いつしかそれが日常になっていた。
 頭痛は長い時間、それこそ意識を失っていたようにも、眠っているような時間だったようにも思えたが、実際にはほんのわずかな時間だったらしい。
 急速に引いていく頭痛を、それよりも早く取り除こうとするかのように、頭を振ってみるとき、どうやら周りにいる者たちも思考を止めていたらしいということを知った。
「――なんだったのだ、いまのは……」
 ファンベルンは確かに見た。
 後ろから覗き見る者たちも、フルーリーの窮状に目を向いていたためその光景を見ていた。
 子供ぐらいの大きさの人影が、グラトニーの剣を受け止め――、彼の体が白く光ったように見えたのを。
 とはいえそれは一瞬で。
 確信はない――が。
 それがなければフルーリーが大怪我を折っていただろうことは、想像に難くなく――。
 だが、理解に及ばないそれを的確に表す言葉は、
「バケモノ――ッ?!」
 誰かが口にしたその言葉がもたらす感情を、しかし大の大人である彼らは、ましてや騎士である彼らは、職業意識によって押し殺した。
 すなわち――、恐怖。
 おそるおそる――、が故に、警戒は解かない。
 何があっても対処できるように、身構えていた。
 そんな彼らを目にして、グラトニーは自嘲する。
――バケモノ……か――
 それでいいさ。
 そう思う。
 彼らがこの世の正常を護るもので、それを望むのに対して、自分はこの世の不条理を嘆き、壊すことを望むのだから。
 そう、この世を壊す。
 グリードとの誓いの通りに。
 だから――と、血なまぐさいことにも手を染めてきた。
 繰り返してきた。
 それが革命につながると信じて。
 この世の理不尽を取り除くためだと信じて。
 だが。
 だけど――。
 それをやってのける人が、今目の前にいる。
 それも、自分たちとは異なり、血を流すことなく、この国の構造を変えることで。
 そしてそれを、支持してくれるのは、この国の多くの国民たちだ。
 この国は――、きっとこれからよくなる。よくなっていくはずだ。
「――バタ姫……」
 幾人かがその言葉に首をかしげたが、当然それをグラトニーが気にすることはなかった。
「あんたの見続ける夢を――、その先を、俺にも見せてくれよ」
 グラトニーはそう言って剣を放り捨てた。
 それは大理石が敷き詰められた床に落下し、甲高い音を立てて、転がり――、静止した。
 その視線を真っ向から受け止めて、フルーリーはうなずいた。
「必ずッ――」
 しかしそれは――、
「どけぇええええっ!」
 明確な隙で。
 グリードが大勢を立て直し、気を窺い、飛びかかるだけの時間を稼いでいた。
 そしてそれは、迷うことなくフルーリーを狙ってのもので。
 彼女をファンベルンと自分を結ぶ軸上に置くことで、ファンベルンが最短距離で稼働することを妨げていた。
 よく見れば、左手には拳銃を握っている。
 それは、あまりにもわかりやすく、それでいてグリードにしてみれば会心の、ファンベルンたちからしてみれば痛恨の策。
 フルーリーを人質にしようとしてのものだった。
「もうやめてくれよッ!兄さんっ?!」
 そう叫び間に立ち、二振りのダガーでグリードの進撃を受け止めたのはグラトニーだった。
「――邪魔ッ!するなぁっ!!」
 唾をまき散らし、手にした剣を明確な殺意をもって叩き付けるその一撃一撃を捌きながらグラトニーも負けじと叫ぶ。
「もういいじゃないかっ!この国は変わるんだからっ!俺たちが夢見たように、この国は生まれ変わるんだからっ!!」
 訴えるもそれを聞くグリードではない。
「どぅあむぁるぇええええええっ!!!
 何のためにぃっ!何のためにぃっ!!?ごごまでぇえええっ!?!」
「それが世界を壊すって――」
「お前は何にもわかってなああいいぃぃいいいいっ!!!」
 銃声が響いた――。
 一瞬グラトニーの動きが止まったように見えたが、先ほどと同じようにグリードの猛攻をしのいでいるが――、先ほどまでのキレがない。
 そのことに違和感を覚えたフルーリーはそれからすぐに理解した。
 グラトニーの右足から血を流していることに。
 その時には、フルーリーの視界に小さな影が飛び込もうとしていた。
――エンヴィーッ?!――
「――ぉとなしくしているぉおおっ!!」
 無策といえば無策。
 グラトニーと切り結び続けるグリードに対して、激情に任せて飛びかかったエンヴィーは、瞬時に気付いたグリードによって、太ももを撃たれ、その場に派手に転倒した。
 だが、動いたのはエンヴィーだけではなかった。
 エンヴィーが動いたのに、皆の意識が向いている中、一人冷静に動くものがいた。
 人垣を避けるように迂回して、落ちていた――先ほどグラトニーが頬り捨てた剣を静かに取り上げ、吸い込まれたように見つめる者が。
「――お、おいっ?!」
 それに気が付いたのは、スロウス――が、遅かった。
「なにをっ!」
 その人物――。
 グリードとグラトニーが切りあっている間に、一度は近衛部隊に背後に追いやられたフルーリーがグラトニーの剣を手に、グラトニーめがけて疾駆していた。
 その動きは、エンヴィーのものと比べれば、あからさまに遅かった。
 ――がしかし、その先にいる者は、グラトニーは、フルーリーに背を向けており、なすすべもなく接近され、そんな彼に彼女は剣を突き立てた。

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