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極小の中にあふれる無限54

 スロウスはまるでとある漫画の主人公のように、たった一人で手術を始めた。
 彼女にしてみれば、彼女にとっての「本気」の医療行為となれば当然にして白雪姫の林檎(スノーホワイトアップル)を併用してのものとなるため、ごくごく一般的な医療スタッフに見せるわけにもいかないといった理由があった。
 それだけでなく、患者であるグラトニー自身も白雪姫の林檎(スノーホワイトアップル)に守られる一人なのだ。注射などの比較的簡単な医療行為ならともかく、こうやって本格的な切開しての手術ともなれば、この肉体の異常さにすぐに気が付くはずだ。
 なにしろ、グラトニーの白雪姫の林檎(スノーホワイトアップル)は、彼の色素として擬態しているわけではなく、彼の皮膚として彼の皮膚の上で擬態しているのだ。
 彼の浅黒い肌を浅く裂けば、その下に本当の彼の真っ白な肌を簡単に目にすることだろう。
 すでに先ほど、その場にいた者たちに、見間違いとも思えるわずかな時間とはいえ、グラトニーは素肌を晒し、白雪姫の林檎(スノーホワイトアップル)を捜査してのダミーを扱って見せたばかりだが、だからと言って、それを知るものを増やしていい理由にはならない。
 何より――。
 フルーリーと改めて話をするためにも、ほかの者たちは邪魔でしかなかった。
 そうでなければ、彼女はますます何事も離さないことだろうとスロウスは考えていた。
「――なあ、お姫様?」
 嘲笑を含んだようないつものしゃべり方で、スロウスはフルーリーに話しかけた。
「命って――なんだろうね?」
 そう語りかけながらもスロウスは一瞬も身動きを止めることなく手術を進めていく。
 尚、本来であれば分厚いガラスが隔たる手術室の声が聞こえるはずもないのだが、本来ここは最新の医療技術等を実演形式で披露するための特別な手術室であるため、中に仕込まれたマイクとスピーカーで、フルーリーが一人座る観客席側と会話することができる。
「たった一つしかない、貴重なものですわ」
 フルーリーは迷わずそう答えた。
「そう。貴重だ――。誰のものでもない。ただその命を宿す個人唯一無二のもの――だからこそ、尊い――。うん、そうだ。
 そこで重ねて問うけれどさ。
 命の価値は等価値だと思うかい?」
「――――」
「難しい質問かねぇ?」
「いじわるですわね。
 相手があなたですから、どのように答えても揚げ足を取られるんじゃないかと考えたら、即答できなかっただけですわ」
「おやおや、ばれちまってたかい」
 おどけたように返すスロウスではあるが、今彼女が行っているのは血管の縫合であり、ミリ以下の精度を要求される処置である。
「それに――実際難しですわ。
 これがテレビ受けを狙うなんてことでしたら、ほとんど迷わず――、とはいえその辺は状況次第ですが、ほとんどの場合『等価値』だと答えたんでしょうけれども」
「ほう?それじゃあ、ここであたしと二人きりだとどうなんだい」
「――等価値だなんて、机上の空論ですわ」
「……辛辣だねぇ」
「揚げ足――」
「おおっと、すまないねぇ」
「でも、実際どう思われますか?大賢女プラタナス様?」
「なんだい、意趣返しのつもりかい?
 まあ、――いいさね。それで、あたしの見解だって?
 そりゃ……、見る角度によるだろうよ」
「なるほど」
「金を持ってりゃ上等か?頭が良ければ上等か?それとも、顔がよければ?スポーツができれば?誇れるものがなければ下等かい?生まれが悪けりゃ下等なのかい?それとも単純に、幸福なら上等なのかい?いずれにしてもそれは、そこに価値を置いた場合の見解さね。そうだろ?」
「まさに」
「この世に誕生することのなかった命だってある。――病気ってこともあるだろうが、親の一存――様々な理由があるだろうが、それで奪われる命だってある。
 幼くして病で亡くなる子だっている。
 虐待を受けている子もいれば、いじめを受けている子だっている。
 その子たちの命の価値ってのは――、どうなんだろうねぇ」
「かけがえのないものですわ」
「じゃあ、その加害者たちの命は?」
「――――」
 フルーリーは言い澱んだ。
 そこにある背景。
 十人十色と言われる多様性。
 そこに共通の答えを見出すことはできなかった。
「被害者だと簡単に答えられたのにねぇ」
「くっ――」
「まあ、お嬢様自身が虐待にあっていたんだったねぇ。そう考えれば無理もないのか」
 スロウスにしては珍しく――、むしろさすがに空気を呼んだのか、そうこぼす声にはフルーリーを嘲笑するような響きはなかった。
 なんにせよ――、と前置きして、スロウスは自身の考えを述べた。
「あたしに言わせれば、命なんてものは最小単位で考えれば『等価値』以外のなにものでもないよ。
 得たから失う。
 シンプルなもんさね。そうだろう?」
「0か1かの暴論にも聞こえますが?」
「0か1かの暴論さね――しかし、真理でもある」
「まあ、たしかに」
 フルーリーは頷き返した。
 そんなフルーリーに含み笑いで返して、ごく自然な調子でスロウスは尋ねた。
「これはあれさね。別段、さっきあたしのことを『大賢女』といったことに対する当てつけだとか、意趣返しってわけじゃあないんだが、また別の質問さね。
 今日までにどれだけの人を殺してきたんだい?賢王シュタル?」

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