FC2ブログ
少しでも前へっ!
足踏みのような歩幅でも、少しでも前進できればと思って、書き続けています。※リンクフリーです♪連絡いただけましたら喜んで相互させていただきます。
FC2プロフ



最新記事



カテゴリ



最新コメント



最新トラックバック



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ご訪問者数



☆ブログランキング☆
★参加していますっ★



検索フォーム



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



天気予報


-天気予報コム- -FC2-



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



極小の中にあふれる無限55

「――人聞きの悪いことを」
 極めて冷静な声だった。
 否定することもなく、ただただ心外だとばかりに、憤ることもなく淡々と。
「おや?否定しないんだねぇ」
 正直日拍子抜けだよ――と苦笑気味に笑みを浮かべるスロウスではあったが、それは口元ばかりのことであって、その目は全く笑っていなかった。
「正直なところ、――特にあなたを相手にして誤魔化しきれるものだとは思ってもいませんでしたし、おそらくは義兄も薄々は勘付いていたことでしょうから。
 いまさら否定したところで、無様なだけですわ」
「無様――ねぇ」
 無様無様……と――小さく口ずさむように繰り返しながら、スロウスは横目でフルーリーを眺めた。
「さっきも似たようなことは言ったけれどさ、価値観は人それぞれさね。
 潔いのを良しとするか、生き汚いのを良しとするか、それだってその人それぞれの美意識のようなもんさ。
 お姫様が言ったように、あたしが言った命の価値ってやつは、0か1かの暴論だけれど、――さ。0と1の間にだって、無限に数が転がっているんだよ。
 0と1じゃあ、天と地ほども意味が違うことだってある。
 そうだろ?」
「そうかもしれませんわね」
「……あたしが記憶する限り、賢王と呼ばれたシュタル王が、そう呼ばれるようになったのは、今から大体十年前だったと記憶しているんだが、あっているかねぇ?」
「――そのとおりですわ」
「そしてそれは、王妃が亡くなってからだと記憶しているんだが」
「…………」
「世間様はこう口々に語り合ったもんさ。『不謹慎な話ではあるが、王妃様が亡くなられてから王は変わられた――。それも、今まで以上に勤勉に……、いや革新的な善政を敷いていらっしゃる』なんてね。
 だからみなは思ったものさ。王妃が亡くなった寂しさを誤魔化すために、王は仕事に打ち込むようになったんだと。
 ――けど、ちがったんだろうねぇ。
 王妃がいなくなった寂しさを埋める誰かが、王を動かしていたんだろう?」
「――あらあら?そんな拙い理で、私が賢王だと思われていたんですか?
 どこにも証拠なんてないじゃありませんの」
「証拠を残すようなヘマをするわけがないだろう?」
「お褒めに預かり光栄ですわ」
「ハン、どういたしまして」
 そんなことよりだ――。
「あたしは、その王妃が死んだのもあんたのせいじゃないかと思っているんだがねぇ」
「――あらあら?」
「あんたは、その右目と引き換えに、王妃を死に追いやった――違うかい?」
「そんなことは、存じ上げませんわ」
「――素直に答えちゃくれないのかい?」
「答えを持ち合わせておりませんもの」
 尚、公式記録では、王妃はノイローゼを端に発した病死とされている。
「スロウス――、あなたが語ることが真実であり、それが私の知りうるものであれば、素直に『その通りですわ』と、認めて差し上げるところですけれど、いくらなんでも『知りえない』ものを私の気分一つで『その通りですわ』と認めるわけにはまいりませんの」
「――まったく、答える気があるんだか、ないんだか」
「何をおっしゃるのですか?知っていることであればちゃんとお答えいたしますわ?」
「そうかい――。それなら、だ。
 この件――。今回のシュタル王暗殺の件についても、あんたが糸引いていたのかい?」
「……ッ――――」
 フルーリーは己の拳が震えだすのを我慢することができなかった。
「――そろ、……」
「そろ?」
 大きく深呼吸をした後で、フルーリーは一気にまくし立てた。
「そろそろ私だって怒りますわよッ!!!」
 そこにあるのは、純粋な怒り――。
 少なくともスロウスにはそうとしか感じ取れなかった。
「いいでしょうお答えしましょう。
 この状況を利用することを決めたことは事実です――がッ!
 私が父を暗殺しようと企んだわけではありませんわッ!!!」
「グリードが勝手にしたことだと?」
「当然ですわッ?!」
「――結果的にグリードは逮捕された。
 あんたにまんまと一杯食わされて――でもさ。
 あのグリードがあんなにあっさり引っかかるとも、あたしには思えないんだよ。
 何か裏があったんじゃないのかって、そう思えちまう」
「例えば、私が協力していたというようなことですかっ?!」
「――――違うのかい?」
 無情にも思える声でスロウスは追及をつづけた。
「――私が義兄について存じ上げていることは、王座への妄執ともいえる強い願望だけですわ。
 ですから、それを根底から崩してしまったからこそ、ああやって自滅された――それだけのことですわ」
 返すフルーリーは、今度は浅めの深呼吸を数度繰り返して、無理矢理落ち着かせたような、どこか無理のある声音で答える。
「――なら、こいつはどうなんだい?」
 顎でスロウスが示したのは、グラトニーだった。
「こいつのことをあんたは刺そうとした。
 結果的にはこいつが勝手に責任を感じて、勝手に腹切りだなんて東洋の島国の昔の風習のマネなんてして、ケツまくっちまった。
 そのきっかけになった、あんたがとった斬りかかるって行動……。
 ありゃいったいなんだったんだい?」
「……正直、――正直あの時のことは、よく覚えていませんの」
「そりゃまた都合のいいことで――」
「グラトニーには申し訳ないことをしましたけれど、それが真実ですわ」
「……ふん」
「視界に剣が転がったとき、お父様が――殺されて、床に……転がった――。
 あの時の、光景――が、思い、思い出され――まし……たの」
 涙交じりにフルーリーは語り、
「そしたら、なに――も。考え……られなく、きが――つい、……たら」
 声を押し殺して泣き始めた。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック URL
http://hyosayblog.blog.fc2.com/tb.php/504-23df03dd



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。