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極小の中にあふれる無限56

「――八つ当たり、なんだろうねぇ……。真実がどうであれ」
 そう言ってスロウスは縫合を終えた。
 血管のではない。
 閉腹処置である。
 いつのまにか、たった一人で、それもこの短時間で手術を終えていた。
「このバカは……、このまま起きないつもりなのかもしれないねぇ」
 丁寧に包帯を巻き終えた後、点滴や輸血の確認をしながらスロウスはごちた。
「――どういう……」
 鼻を一度啜ってフルーリーは涙をぬぐいながら尋ねた。
「手術は――?」
「手術は成功したさ……。少なくとも、術式的はね」
 そう言ってスロウスはどこかすねたようなそぶりで、グラトニーの額をぺちんとたたいた。
「術式的に成功したのであれば、大丈夫じゃないんですの?」
「――本気で言っているのかい?」
「本気でって……だって、術式的には――」
「人間が機械なら、もうとっくに動き出しているだろうさ。
 ちぎれちまった配線を繋いで、液漏れしないようにカバーをして、塞いだんだ。
 燃料だってこうやって継ぎ足している。
 なのに動かない――。そりゃそうだろう?人間――いや、生命なんだから」
「――――どういう……」
「助かる側に生きたいって気力がなければ、助かるもんも助からないさ……」
 わかるだろ?
「『溺れる者は藁をも掴む』なんていうけれど、それは生きたいと思っているからさ。苦しいっていうのを本能が拒否するからさ。けれども、そんなことさえあきらめちまえば――、あっという間に底まで引きずり込まれちまう――。淵ってやつさ、死のね」
 スロウスはグラトニーの前髪を優しく梳くように撫でていた。
 その姿は一人の女性というよりかは、母に近い所作のように感じられた。
「できの悪い子ほどかわいいってやつさね」
 もっとも、あそこだとこんな子たちばっかりだったけれどね。グリードも含めてやってもいい。世間を知っているようなふりして、とんと世間のことなんてわかっちゃいないのさ。
「まあ、それよりも――だ。
 お姫様に一つお願いしたくてねぇ」
「今私がここにいるのも、あなたに頼まれたからだったと記憶していますが?」
「そう意地悪を言うんじゃないよ。
 確かに忙しい身ではあるんだろうけれど、さ――。文字通り人助けなんだから」
「…………」
「グラトニーを看ていてやってほしい」
「はい?」
「エンヴィーも手術した後だろうし――、あの子がそれこそ生きる意志を放棄して死ぬとも思えない。何しろあの子はグラトニーが回復することを信じているだろうからね。
 それはともかく、だからあの子は今はまだ動けないはずさね。
 もちろん、この城勤めの看護師の面々もいらっしゃるんだろうが、それはそれさね。
 誰かが入院したら、その近しい人が見舞って、見守っていてやるもんだろう?違うかい?」
「まあ――、そうですわね」
「エンヴィーは動けない、グリードは逮捕された、あたしはといえば、そろそろ活動限界ってやつさ」
「えらく都合が――」
「忘れちゃいないかい?本当はあたしは寝ているのが常であって、寝ぼけているのが常であって、これまでも結構無理をしているんだよ。
 例の火星までトんじまうお薬さ。体内で自己生成しちゃいたけれど、それでももう体が限界なんだよ。
 大体、これまでに手品のように薬やら、体細胞やらを生成しては見せたけれど、あれらだって当然にしてただってわけじゃあないんだ。あたしって身体を工場に見立てて、材料を精製するところからやっているんだよ?
 いい加減、限界なのさ」
「――だから……いいえ、わかりましたわ」
「話が早くて助かるよ。正直今は自分たちの身を護りたくても、守れるものも守ってくれるものもいなくてねぇ。正直お姫様だけが頼りなのさ。あんたなら、いざとなってもあたしたちを庇うことができる――そうだろ?
 それと、別に個室なんて厚かましいことをいうつもりはないからね?あたしたちだけの相部屋でいいさね。 あたしたちをひとまとめにしといたほうが、そちらとしても監視はしやすいだろうからさ。
 看護師さんたちにはあたしの方で引き継いどくから、後は頼んだよ?」

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