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極小の中にあふれる無限57

「冷静に考えてみれば、結局三人分の面倒を押し付けられているんじゃないですの……」
 3人が眠りにつく病室の中、エンヴィーが寝返りを打った拍子でまくれてしまった毛布を彼にかけなおした後、椅子に腰かけながらフルーリーはぼやいた。
 考え直してみれば、グラトニーの看病という名目での話だったはずなのに、気が付いてみればご覧の通りの状況であった。
 とはいえさすがに途中で気が付きはしたのだが、すでに断りにくい状況だったのだ。
 何しろスロウスがほかの医師や看護師に引き継ぐ際、フルーリーのことを言い含めてしまったのだ。
――お姫様が看病してくれるらしいので、お願いすることにした――
 その言葉には、その医師たちも驚きの表情を見せ、「王女様にそのような真似をさせるわけにはいかない」といった言葉で、自分たちが看病するように話をしたのだが、
――あたしが誰か――わかっているだろう?何せ敵が多いもんでね……。
  そんなあたしのことをきにしてくれたみたいで、お姫様が自ら看病してくれるっていうんだよ。ありがたすぎて、涙が出てくるよ――
 下手な泣く演技までして語るスロウスに、いっそその場でスロウスが語る大仰な物言いを「嘘ですわ」と否定してやろうかとも思ったフルーリーではあったが、彼女が何を考えているのかもわからないため、――なにより、そこまで支障が出るとも思えなかったため、素直に「そのとおりですわ」と答えた。
 大賢女プラタナスが生きていたことが彼らにとってどれだけ衝撃的なことだっただろうか。そして、彼女が残してきた功績が、どれだけ彼らの技術を後押ししているか。いわば、王城勤めの彼らにとっても、大罪人だとのレッテルを張られてもなお、彼女は「大賢女」としての存在感と発言力を有しているのだということは、彼女と医師たちとの会話でも十分に知ることができる。
 ならば、たとえフルーリー本人がどう否定しようとも、その前に彼女が述べたような、ある種の都市伝説にも似た、「フルーリー暗躍説」を述べられようものなら、どんなイメージダウンをこうむるかもわからない。
 なら――、数日を犠牲にする覚悟で、素直に彼らの看病をしたほうが、単純にその後のイメージ戦略を考えれば有効だといえる。
 フルーリーも善意だけで今まで王女をやってきたわけじゃない。
 わずかな善意を押し通すために、どれだけの演技を必要とするのか、演出が必要なのか、今こそ自分のことを「バタ姫」何ぞと呼んでくれるグラトニーにとくと語ってやりたい思いだった。
 そんなこんなでなし崩し的に看病をすることにはなったのだが、改めてこの状況を考えてみると、度胸が据わっているのか、それとも実際のところは信用してくれているのか、フルーリーには読み切ることができなかった。
 それこそスロウス自身が語った「フルーリー暗躍説」が本当なのであれば、ここにいる彼らを例えば本当は葬ろうと思っているのであれば、こんなチャンスもそうそうないことだろう。
 だが、現実的には、ここに彼らが入院していることは、知っている者たちには知られてしまっているのだし、医師たちも控えているとなれば、様態が急変するようなことがあれば、とんでくるだろう。
 例えば何らかの道具を用いて、彼らを殺めた場合、看病していたのがフルーリーともなれば、彼女に疑いがかかることだろう。
 たとえ冤罪であったとしても、この話題性のある内容に、メディアは喰い付き、面白おかしく飾り立てながら、好き勝手に報道することだろう。その場合でも王政そのものの廃止にはつながるかもしれないが、フルーリーが目指すような、人々が手をつないで一繋ぎとなるような日は来ないかもしれない。
 だからこそフルーリーは手が抜けなかった。
 万が一を恐れ、懸命に看病をした。
 もちろんすべてを一人で行ったわけではない。
 手術後熱を持ったグラトニーの体を、ほかの看護師たちと協力して拭き、彼女たちが服を着せかえるのを手伝うなんてこともしてきた。
 たった一人。
 そのたった一人の命をつなぐために、今少なくとも3人がかりで世話をしている。
 もちろんしっかりとした訓練を受けている看護師たちであれば、そんな人数も本来はいらないのかもしれないが、フルーリーの手前もあってか、グラトニーとエンヴィーは手厚い看護を受けることができた。
 彼らの看病をしながら――、彼らと同じ部屋で寝起きをして3日目。
 うっすらと瞳を開いたエンヴィーと、その目が合った時、思わずフルーリーの目にこみ上げてくるものがあった。

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