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極小の中にあふれる無限59

 フリーリー自身にもなぜこうもうれしいのかがよくわからなかった。
 それもそうだろう。
 彼女は良くも悪くも王族であり、王族としての生活をこれまでしてきたのだ。
 だからこそ、幸か不幸か立場というものにも守られていたし、逆に立場が故に身に着ける必要のあった人当たりの良い振る舞いなどのおかげで、あからさまに敵対するものがこれまでいなかった――少なくとも、一般人に比べてみれば。
 いいかえれば、彼女にとっては彼女ならではの艱難辛苦を乗り越えてはきたものの、ごくごく平凡とさえいえるような、「経験」こそが不足していたともいえる。
 反論したいものがいたとしても、どうしてもその言葉を選ぶ必要があったし、たいしたことでなくても褒められてきた半面、褒められることに慣れ過ぎていた。
 気が付けばパブロフの犬のごとく、褒められれば喜ぶという一連の反応を、反射的に行ってしまうほどには。
 なにより、それが大事でもあったのだ。
 心の成熟をよそに、機械的に、事務的に、義務的に。
 そうすることで、相手の機嫌がよくなるのであれば――そういうことを考えて、これまで生きてきたのだ。
 その必要があったのだ。
 だからこそこうして純粋に、生の思いを伝えられたとき、ここまで舞い上がってしまった。
 もちろん、彼女を本音でほめたたえる者はあっただろうが、その者はフルーリーに対して真っ向から苦言を述べるようなことはなかった。
 とはいえ、エンヴィーの言葉は極端といえば、あまりにも極端なのかもしれないが。
 それこそ、0か1かの暴論ともいえるほどには。
 けれども、そんな情けも容赦もない、残酷な言葉を叩き付けたエンヴィーだからこそだといえる。
 言い換えれば、それは彼女をエンヴィーと同じ「人間」として扱ってくれたということであって、人間であることを再認識させられたようなものだったのだ。
 そう考えれば、実は逆だったのである。
 エンヴィーはフルーリーが自分と同じ舞台に立とうとしてくることを畏怖したが、実は彼こそが先にフルーリーを自分の立ち位置に引きずり込んだのである。
 そう考えれば、だからこそ余計にエンヴィーを怯えさせたのかもしれない。
 きっと彼の本能としては、一度自分のテリトリーに引きずり込んで、散々怯えさせ、次はないぞとテリトリーから解放したというのに、まさか自分から、それも無手のままに真っ向から向かってくる、命知らずとさえ言っていいその覚悟を、余計に脅威だと感じてしまったのかもしれない。
 確かに0と1との暴論ではあったのだろう。
 けれども、0がフルーリーで1がエンヴィーだったのだとしたら、二人は対照的だったからこそ、こうしてお互いのかけているところを、痛みを伴いはしたが、知ることができた。
 学ぶことができた。
 二人が感じた事、抱いたことは、奇しくも同じことだった。
 「命の尊さが産み出す心のぬくもり」
「――う、……?」
 エンヴィーは思わず天井を仰いでいた。
 自分の布団に水滴が落ちてきたからだ。
 だが、ここは王城であり、通常の建築物よりも堅牢に作られており、定期的に点検が行われ、改修や補強がされているため、雨漏りがしてきたとは考えにくい。
 例えば、この部屋の真上に浴室などがあって、お湯が出しっぱなしなのだろうか?
 それにしては、天井は濡れていないように思える。
 一度その水滴のことを意識してみれば、顔をあげたときにも、水滴が流れる方向を変えて、耳の後ろへと落ちて行った。
 エンヴィーはそれが気になって拭ってみた。
 透明な水で手が濡れた。
 もう一度ぬぐってみた。
 やはり透明な水で手が濡れた。
 何だろう――。
 なんでだろう――。
 そう思った時には、とめどなくあふれてくるものが、ゆがむ視界が教えてくれていた。
――ボクの……涙――

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