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極小の中にあふれる無限63

 それにしても――。
 フルーリーはまばたきを繰り返して涙を追いやりながら思った。
 スロウス――さすがは大賢女といわれただけのことはありますわね。
 一昨日の日のことを思い出しながらフルーリーは不敵な笑みを浮かべた。
 そのとき歯が噛み合ってしまい、胃液によって今回泡がったったようなざらつく感触に、彼女は思わず眉根を寄せた。
 はたから見たら、どのように見えるのでしょうね、今の私は。
 口元を体液で汚しながら、激しく餌付いていたせいか目元を赤くはらし、涙の筋も残ったままだ。
 テレビで見せるような、どこか超然とした、慈愛という言葉がよく似合う、そんな彼女のことを国民の多くが――、いやこの国のすべての者たちが見続けてきた彼女なのであって、こんな風にある意味で人間臭い表情をしているところなど見たことがないだろう。
 多くの人たちに見られる存在である彼女にとって、本当の意味でプライベートだといえるのは、こういったトイレの個室ぐらいのものだった。
 例えば自室であっても誰が訪れるかわからないため、楚々としたたたずまいを貫く必要があったからだ。
 そんな彼女は時折こうして、誰にも見られることもないだろう、トイレや浴室といった自分一人しかいない空間で、声にすることなく思うことがあった。
――でも、負けませんわ――
 思えばこうして、誰に知られることもなく、自分の意識を高ぶらせることを始めたのは、彼女が母親であるリューネの考えに気が付いたころからだろうか。
 リューネがフルーリーのことを愛し、それと同時に憎悪を抱えていることを、幼い彼女は幼いながらに気が付いていた。
 幼いからこそだったのかもしれない。
 だが、フルーリーはフルーリーでそんなことを相談できる相手がいなかった。
 幼い子供がいうことを全面的に信用してくれる大人――というのも少ない。
 単純に大人と子供を比較したとき、これまで様々な経験をしてきただろう大人のいい分こそを多くの大人たちは信じる。
 王族としての発言力や、その責任の重さを幼いながらに教えられてきた彼女だからこそ、不用意に身内のことを糾弾するようなこともできなかったのだ。
 そしてなすすべもなく、あの日を迎えることとなった。
 裁断ばさみを手にしたリューネのことをフルーリーはしっかりと覚えている。
 彼女が何気ないようなそぶりで自分の右目にめがけて突き刺そうとしてきたあの時のことも。
 フルーリーは見ていた。
 見ていて、それでいて尚、逃げるという選択肢を自ら封じ込めた。
 すべてを受け入れる覚悟で。
 その切っ先を見つめ続けて。
 ただただ、その先のことを望んで。
 夢見て。
 ――けれども、まさかこのことが。
 母の命を奪うことになるとは、幼い彼女は夢にも思わなかった。
 きっと、そういった病院で治療してくれると思っていたのに。
 実際には、王室は彼女をあっさりと見限った。
 フルーリーは直接見たわけではないが、数日後にリューネは自殺を図って亡くなってしまった――といっていたのを、誰かが口にしていた。
 ――けれども、国民への説明は「病死」。
 幼いフルーリーへは、「お母さんはお星さまになったんだよ」と、シュタル王は涙ながらに語っていたが、――とても悲しんでいたようには、思い返してみれば思えない。
 こうなると、何が真実なのかもわからない。
 ――だからこそ、フルーリーは思った。
 この国は、このままではいけない。
 それは、幼いからこそ、純粋だからこそ抱いた思いだったのかもしれない。
 大人になれば歪んでしまいがちな純粋さ。
 だから彼女は、情熱を人知れず燃やすのだ。
 ――負けませんわっ――

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