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極小の中にあふれる無限69

 そんな状況故に、フルーリーは外交に追われ、その合間でグラトニーたちの病室を訪れ、エンヴィーに教育をするという生活を送っていたのだから、当然のように疲れがたまっていた。
 病室は直射日光をさえぎるためにカーテンが引いてあったのだが、むしろそれゆえに和らいだ日差しが室内に入り込んできて、陽だまりのぬくもりが部屋を包み込み、椅子に腰かけるフルーリーの眠気を誘った。
 読みかけていた本から瞼を上げ、眠気を払うように首を振るフルーリーではあったが、再び活字へと視線を戻し、そこから数行も読まぬうちに寝入りこんでしまった。
 ――夢か、現か……。
 自分が一瞬とはいえ眠りに落ちていたことを自覚したフルーリーが自然とうつむいていた顔を上げると、そこはいつか見た肌色の世界だった。
 相変わらず窓など見えないのに、明るい肌色で包まれたこの世界は、つい先ほど見た光景に似ていた。
 カーテン越しに差し込む陽光だ。
 目を開いたときこそ、記憶とはつながらない場所にいるということに驚きはしたが、さすがに以前も来た(?)ことのある空間だけに、取り乱すほどのことはなかった。
「――グラトニーですの?」
 誰もいない世界に問いかけるフルーリーの声が溶け込み、沁み渡るのを待つかのように、わずかに時間をおいて、
「――の、トラウマですね」
 そう言って姿を現したのは、以前も出会ったグラトニーの幼少期の姿だった。
 改めてその姿をフルーリーはまじまじと見てみた。
 なるほど。
 確かに面影がある。
 同時に、けれどもと疑問が首をもたげた。
「――あなたは本当にグラトニーのトラウマ……ですの?」
 フルーリーがそう考えたのには理由がもちろんある。
 この現状――唐突に迷い込んだかのような、異空間にしか思えないような状況に閃くものがあったからだ。
「――なかなか、哲学的な質問ですね」
 そう言って難しいことを考えるように、眉間にしわを寄せて見せた後、少年は屈託なく笑った。
 そこには、少なくともフルーリーの知るグラトニーの面影を見出すことはできなかった。
 もしかしたら、彼は幼少期のころはこんな風におどけて見せるような少年だったのだろうか。
 それに見た目の年齢の割にはその物言いからはどこか知的な印象を受ける。それもどこか野暮ったいというか、皮肉屋というべきか、そんなグラトニーの印象とはことなるものだった。
「自分が自分であることを証明するって、結構難しいと思いますよ?」
 われ思う、ゆえにわれあり。
 とはいうものの、それは所詮主観においての話だ。
 他人に自分を証明する方法。
 顔も見せず、声も見せず、筆致も見せずに相手に自分のことを伝えるのだとしたら、人はどうやって自分のことを自分だと証明するのだろう。
 互いに知りうるエピソードを語るのか。
 自分のパーソナルデータを語るのか。
 それとも逆に相手のパーソナルデータを語るのか。
 だが、そんなものは調べようと思えば調べられること。
 ならば、どのようにして自分を自分だと証明するというのか。
 おそらくはない。
 信用してもらうしかない。
 信じてもらうしかない。
 確かに、自分のことを自分だと証明することは難しい。
「それとも、そんな僕の話を聞かせてあげたら満足するのかな?」
 どこかからかうように笑う少年に、フルーリーは特段感情を荒げることもなく、静かに微笑みを浮かべて首を振った。
「それはグラトニーが起きたときに聞かせていただきますわ」

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