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極小の中にあふれる無限72

 グラトニーはといえば、彼はずっと夢を見ていた。
 いつか失われたはずの、本来ならば訪れたであろう、穏やかな時間を過ごす夢を。
 その夢を、グラトニーは頭の片隅で夢だと認識しながら見ていた。
 何しろ夢の中のグラトニーは、あの頃のままの姿をしていた。
 大好きな母を失った、七歳だったあの日の姿を。
 そんなグラトニーは膝枕をしてもらっていた。
 膝枕をされることを、最初のうちは恥ずかしいと思っていたが、それでも自分の外観を確認して、「子供だからいいんだ」と納得した。
 それは照れ隠しだったし、素直に甘えられない彼を正確に表現しているようないいわけではあったが、それ以上自覚するとかえって恥ずかしさが増してくるので、無視を決め込むことにした。
 だってそうなのだ。
 その膝枕をしてくれている人が、もういないことを今のグラトニーは痛いぐらいに理解しているから。
 甘えたりなかった隙間を埋めるように、今だけはただ甘えていたかった。
 たとえ夢だとしても。
 たとえ幻だとしても。
 もしかしたら、本当に今際の際に駆けつけてくれたのかもしれないとはにかむように苦笑しながら、懸命に記憶のままの姿でいるお母さんに話しかけた。
 その話の大半は、母が知ることのできなかった、今のグラトニーにつながる話ばかりで。
 そんな矛盾にも気づいてはいたけれど、それらも無視することに決めた。
 少しでもそうやって気を咲いてしまうと、まったく違う夢の中に迷い込んでしまうかもしれないと恐れたからだ。
 幼いグラトニーが、幼い声で、幼さを思わせる話し方で、懸命に自分の言いたいことを訴えるように話し続けるのを、母は穏やかに微笑みながら、ずっと聞いてくれていた。
 時にうなずきながら。
 時に柔らかな髪を梳くように頭を撫でながら。
 たとえ夢だとしても。
 幻だったとしても。
 それはグラトニーにとって何物にも代えがたい時間だった。
 そんな話も、ついに時間軸が追い付いてしまった。
 グラトニーが自らを貫き意識を失った瞬間に追いついてしまった。
 グラトニーは自らの腹を何とはなしにみると、そこには愛刀が深々と突き刺さっていた。
 ――痛い。
 そう感じた。
 夢だと分かっているのに、痛みがあるのだ。
 何とはなしに顔を見上げた。
 母は穏やかな顔をしていた。
 その顔はすべてを許しているようでもあったし、すべてを認めてくれているようにも見えた。
 けれどもその笑顔は、グラトニーの知る彼女の笑顔と自然と重なり、彼が大好きだった笑顔だったということを思い出した。
 静かに微笑んでくれている母の笑顔。
 見守ってくれていた、あの頃の笑顔。
 もちろん優しいだけの母ではなかった。
 はっきりとしつけは厳しいといえたし、剣術の稽古などは、精神性を重視したもので、それは彼女の教育の一環となっていた。
 剣を一つ振り、二つ振り。
 ただ一心不乱に剣先を見据えながら素振りを繰り返している時に、ふと視線を感じて見やれば、母はあの微笑みを浮かべていた。
 このほほえみを。

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