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極小の中にあふれる無限75

「大馬鹿者ですわね――」
 そんな声を聴いた気がした。
 つい最近頻繁に耳にしていたように感じるその声は、その実、ずっと昔から知っている気がした。
 夢の中だろうか。
 意識と認識がなかなか像を結んでくれないが、グラトニーは自然と唇をゆがませていた。
 やれやれ、ご苦労なこった。
 それが、彼が抱いた正直な感想だった。
「人の夢に出てきてまで、ケチつけてんじゃねぇよ、バタ姫が――あ」 
 そう言って気が付いた。
 今自分がおかれている状況を。
 今は亡き母に――、元はこの国に忠誠を誓っていた彼女に膝枕をしてもらっているということを。
 彼女が成長したフルーリーを見て、フルーリーが王女殿下その人だと認識できるかはわからない――が、もしそれができていたのだとしたら、非常にまずいことになる。
 グラトニーは思い出す。
 幼少期。
 文字通り叩き込まれ続けた、この国への忠誠心のことを。
 母を亡くした要因もまた、この国の軍に絡んでいる以上、彼はそれ以降この国の在り方を否定したくてたまらず、実際そうしてきたわけだが、そんな事情まで母が解釈してくれているとは思えないし、許してくれるようには思えなかった。
 恐る恐る見上げてみると、――そこにはただまばゆい光が差し込んでいる、天井が見えるばかりだった。
 ――なるほど。
 ホッとしたといえばほっとしたが、それ以上に残念な気持ちが勝っていた。
 当然ではあるが。
 そこにはすでに母の姿はなかった。
 けれども、どこか確信があった。
 また会えるさ。
 ――夢の中で。
 それは悲しいことに違いなかった。
 もういないから、だから夢の中でしか会えないという現実。
 現実にはもう、亡くなってしまった、過去の人なのだから。
 とはいえ、彼女の命は、こうして自分が引き継いでいる。
 もう片方の血も息づいてはいるわけだが、何も血やDNAばかりが引き継いだ財産というわけではない。
 彼という人格の基礎を組み上げたのは、間違いなく母親だったはずだ。
 ――それを壊したのも、肉親である父親の方だった……、というのはまったくもって笑えない冗談のようだったが、それはそれだ。
 大切なものが何か。
 それを大切だと思って、守り抜こうと、貫こうと思えるかどうかだ。
 大切なものを大切だからといってただ護って、それで近づく他のものを徒に傷つけていいわけがない。
 ごく、あたりまえのこと――が、見えていなかった。
 見えるほどの余裕がなかった。
 それがここにきて、理解できた気がする。
 なるほど、と。
 これが、あいつが夢見るだけの理由か――と。
 バタ姫――には違いないけどな。
 そう苦笑しながら、できるできないかはともかくとして、グラトニーは思った。
 だから、俺みたいなやつが必要なんだろう。

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