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極小の中にあふれる無限76

「――――――」
 世界が柔らかな光に包まれているように見えた。
 ここはどこなのか、自分が誰なのかを、思い出すまでにわずかな時間を必要としたが、一つしかわからなかった。
 自分が誰なのかということ。
 それだけしか、思い出せなかった。
 見上げる天井は見知らぬコンクリートでできているのであろう白塗りのもので、慣れ親しんだ岩肌の凹凸がうっすらと影となって見えるものとは雲泥の差であった。
 きれいだな。
 そう思いはしたが、それでこの場所が理解できたわけではない。
 本来であれば、そんな場所に気が付いたら板となれば、咄嗟に体を起こして、状況と、今後の方針を固めなければならないはずだし、そうするようにしてきたはずのグラトニーではあったが、そんな気にはなれなかった。
 あきらめている――わけではない。
 そんな自分の変化に驚いているわけでもない。
 夢を見ていた気がする――が、その夢のほとんどは、やはり夢だったらしく忘れてしまっていた。
 ただ、大事なことに気が付いた。
 それだけは覚えているし、だから自分の命を精一杯使おうという思いだけは胸の中で息づき、静かにしかし力強く、鼓動として打ち鳴らされている。
 けれども、このよくわからない状況にあって、命を守らなければならないはずの状況でありながら、そう実行しない――のは、このかけてあるぬくもりによるものか。
 天井のそれよりも白く、一見して清潔なものだと分かる掛布団とそのカバー。
 そしてそれとは別に感じる重み。
 人一人の、上半身の持つ重み。
 自分のそれよりもずっと軽いそれを、起こしてしまうのが申し訳なく感じられて。
 だから、グラトニーは動かずに、彼女が起きるだろう時を確信して待った。
 そう、起きるだろう。
 間もなく。
 なぜか、グラトニーは確信していたのだ。
 考えてみれば妙な話だ――、まあいい。
 そうしてフルーリーを見つめながら、グラトニーは思考を回転させた。
 さて、どんな言葉でからかってやるか。
 思考に意識を割いていたグラトニーではあったが、いくつかの候補を考え付いたとき、再びフルーリーへとその意識を向けた。
 わずかに身じろいだ感触が、布団越しに伝わってきたからだ。
「――ん……」
 寝ていたことに今気が付いた様子で、フルーリーは小さく声を上げて身を起こそうとして、グラトニーの視線とぶつかった。
「…………」
 どこか不思議そうな顔をしている彼女を見て、思わず苦笑がこみ上げてくる。
「――なんて顔してんだよ……」
 二度ほど瞼をしばたたかせて、いまいちグラトニーの言葉が理解できないように首をかしげながら、一度強く目をつむった。
 もう一度開けてみれば、そこにはやっぱりグラトニーの目があって。
「おはよう」
 グラトニーがそう声をかけてきた。
「――おはよう……ござい――ます」
 どこか条件反射のようにそう答えるが、その声に張りがない。
「――お化けでも見たような顔しやがって」
 苦笑してしまう。
 まさか、あのお姫様の寝ぼけた姿を見る日が来るなど、思いもしなかった。
「寝ぼけてなどいませんわ――だいたいっ」
 心外だと口を開いたフルーリーは、堰が切れたかのように、一気にまくし立てようとしたが、それを見越してグラトニーが、
「――ありがとう」
 などといって、頭を下げるものだから、そのやりどころに困ってしまう。
 グラトニーの様子には、誠意しか感じられず、彼が本心から感謝しているのだということが伝わってきたからだ。
「ずるいですわっ!」
 そう言って、そっぽを向くので精いっぱいだった。
 目が佐俣暁には、文句の一つでも何か言ってやりたいと考えていたフルーリーだったが、いざそうなってしまうと、いうべき言葉が見当たらなかった。

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